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Internal structure of the Moon:
月の内部構造と探査

「月はどのように形成されたのか」

Fig.1 アポロ計画の際の月着陸地点マップ: アポロ12・14・15・16号では4点ネットワークでの月震観測が行われ、 計12,000以上の月震イベントが検出された。(credit : NASA)
 これは地球の起源を考える上でも欠かせない問題です。今まで月は地球に火星と同じくらいの大きさの原始惑星が衝突してできた 破片が集積してできたというジャイアントインパクト説[1]や小天体が幾度も衝突してできたという複数衝突説[2]など様々な説が 提唱され、月と地球は共進化してきたと考えられてきました。どの説がもっともらしいかを絞り込むためには形成史と密に 関わる内部構造や熱史の解明が鍵であり、そのためには月のデータやサンプルを集めることは必要不可欠です。これまで月探査は ソビエト連邦のルナ計画を皮切りにアメリカのアポロ計画やLunar Reconnaissance Orbiter、そして日本のSELENE(かぐや) など様々な国が行っており、最近では中国の嫦娥4号が月の裏側に着陸したことが話題となっています。このような様々な探査ミッション で観測された月震データや潮汐変形のデータ、そして重力異常のデータなどを用いて月の内部構造は調べられてきました。
 例えば、重力異常(平均重力からの差)のデータは月浅部の密度構造を調べる上で有用です。探査機の軌道データ等から求まる 重力場に測定高度の補正を加えることでフリーエア重力異常が求まります。フリーエア重力異常はその地点でアイソスタシーの 有無を示す指標で、それによって月の大型盆地下には通称マスコン(mass concentration)と呼ばれる質量過剰が存在しているのが 発見されてきました[3]。このマスコンの形成過程はアイソスタシーでは説明できず、全てのマスコンを説明できる形成理論は 確立されていません。他にもフリーエア異常と地形の対応関係(アドミッタンス)から月表面の密度分布の解析などもなされてきました[4]。 このフリーエア異常にさらに地形の影響を補正するとブーゲー重力異常が求まります。ブーゲー重力異常は月の内部構造のみを 反映しており、月のモホ面(地殻-マントル境界面)の深度分布の解析[5]に用いられたり、線状の重力異常から貫入岩体の存在が 示唆されたりしています[6]。これらの知見とクレーター数密度や月試料を用いた年代推定などを併せることで月の熱史や 形成過程を探ることができるかもしれません。
 このように月探査では月の起源を知る上で重要な様々なデータを得ることができますが、NASAが持続的な月面有人探査を2028年 までに行うと発表したほか、日本もSLIMなど無人月探査ミッションを計画しています。民間も交えた月探査ミッションが多数計画 されていくこれからは月のデータがさらに充実し、これまで以上に月の内部構造に迫ることができる時代が到来することでしょう。
 当研究室ではこのような月の形成史解明や将来的な探査ミッションに役立てるべく、惑星測地学的アプローチで月内部構造の 研究を行なっています。特にGRAILミッションにおいて高解像度で測定された重力異常データを用い、月浅部構造の解析手法に 関する研究を国立天文台とも協力しつつ行なっています。

文責: 西山


Fig. 2 GRAILで計測された月のフリーエア重力異常マップ: 赤い部分は正のフリーエア重力異常を示し、地下の質量過剰を示唆する。 特に巨大衝突盆地に見られる質量過剰をマスコンと呼ぶ。


[1] Kokubo, E., Ida, S. & Makino, J. (2000). Evolution of a circumterrestrial disk and formation of a single Moon. Icarus 148, 419–436
[2] Rufu, R., Aharonson, O. & Perets, H. B. (2017). A multiple-impact origin for the Moon. Nature. Geoscience. 10, 89–94
[3] Muller, P. M., & W. L. Sjogren. (1968). Mascons: Lunar mass concentrations, Science, 161, 680-684.
[4] Mark A. Wieczorek, Gregory A. Neumann, Francis Nimmo, Walter S. Kiefer,… & Maria T. Zuber. (2018). The crust of the moon as seen by GRAIL, Science, 339, 671-674
[5] Mark A. Wieczorek, and Roger J. Phillips. (1998). Potential anomalies on a sphere' Applications to the thickness of the lunar crust. Journal of Geophysical Research, Vol. 103, No. El, 1715-1724.
[6] Jeffrey C. Andrews-Hanna, Sami W. Asmar, James W. Head III, Walter S. Kiefer,…
Maria T. Zuber. (2018). Ancient igneous intrusions and early expansion of the Moon revealed by GRAIL gravity gradiometry, Science, 339, 675-678

 

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