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2017-1st Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Hajime Hiyagon - UTokyo
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: Apr. 10th 2017, 17:30 - 19:00
Title: 初期太陽系における同位体不均一について(その1)
Abstract:  近年、同位体分析精度の向上により、隕石の構成物質(CAI、コンドルール、あるいは隕石全岩)中の多くの元素に同位体組成のバリエーションが存在することが明らかになってきた。また、初期太陽系に存在した短寿命放射性核種(たとえば26Alの分布に関しても不均一の可能性が議論されている。もとをたどれば、太陽系はさまざまな星における元素合成過程を経た物質がまざりあってできたものである。同位体組成のバリエーション(不均一)の原因としては、起源の異なる物質が不均一に混合したことを反映している(たとえば超新星起源のダストが太陽系形成過程の途中で付け加わったことによる)、あるいは、もとは均一に混合されていたものが太陽系内での熱プロセスなどによって一部が分解し不均一を生じた、などの説がある。また、短寿命放射性核種の存在は、太陽系形成直前に核合成があったことを示すが、その起源として、超新星、AGB星、(さらには高エネルギー粒子による核破砕反応)などが議論されている。これら同位体組成変動の原因や短寿命放射性核種の起源と分布を探ることは、太陽系がどのような場(星間分子雲)で形成されたかを理解することにつながる。このセミナーでは、最近の論文で報告されているデータと議論を整理し、全体としてどのように理解すればよいかを一緒に考えてみたい。おそらく1回のセ ミナーでは終わらないだろうと予想している。今回は(その1)として、私の問題意識と、多くのデータ(観測事実)の整理をおこなった上で、いくつかの論文をたたき台として議論を始めたい。後日、(その2)でさらに議論を整理する予定。



2017-2nd Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Tsuyoshi Iizuka - UTokyo
Place: Room 851 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo)
Time: 2017-04-17, 17:30 - 19:00(TBA)
Title: Hf-Zr同位体地球化学から探る初期地球分化
Abstract:  近年のHf及びW同位体地球化学により,地球の初期化学分化は45 億年前には起きていたことが示された.今後は,この初期分化が進んだ物理化学条件に制約を与えていく必要がある.例えば,地球の内部熱源となる放射性元素が分化時にどう分配されたかは,その後の地球の熱史とダイナミクスを左右する.そして初期分化の物理化学条件に制約を与えるためには,複数の同位体系の情報を組み合わせることにより,分化が起きた時期と様々な元素分別の度合いを正確に決定することが必要となる.そこで本研究では,地球最古の岩石試料であるアカスタ花崗岩中の40-36億年前ジルコンと西オーストラリアに産する冥王代ジルコンについて,Hf及びZr同位体地球化学を行っている.本発表では,研究の背景・原理・目的について説明した上で,これまでに得られているHf同位体分析の結果と一部の試料についてはZr同位体分析の結果を報告する.



2017-3rd Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Takashi Mikouchi - UTokyo
Place: Room 851 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo)
Time: 2017-04-24, 17:30 - 19:00(TBA)
Title: カンラン石の元素拡散を利用した冷却速度の推定:火星隕石ナクライト・シャ シナイト起源岩体の内部構造推定への応用
Abstract: カンラン石は地球外物質中に最も普遍的に存在する鉱物である。ネソケイ酸塩に属するカンラン石はMg-Fe(-Ca)の固溶体であるが、他の造岩鉱物に比べて陽イオ ンの拡散速度が相対的に速い。そのため、カンラン石の結晶内に濃度勾配が見られるときは、特に速い冷却速度を経験したことを示している。また、カンラン石 は元素拡散係数が比較的精度よく実験的に求められているという特徴がある。これらのことから、カンラン石中に観測されるいくつかの元素の濃度勾配を EPMAにより測定し、元素拡散係数を用いてそれらのプロファイルをフィッティングすることにより、ある温度範囲の冷却速度を定量的に推定することがで きる。今回は、火星隕石ナクライト、シャシナイト中のカンラン石に注目して、これらの隕石グループが起源とする岩体がどのような内部構造をしていたかを冷却速度の計算とその他の鉱物に見られる組織・化学組成などの特徴から議論した結果を一例として紹介する。



2017-4th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Hajime Hiyagon - UTokyo
Place: Room 851 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2017-05-08, 17:30 - 19:00
Title: 初期太陽系における同位体不均一について(その2)
Abstract:  前回に引きつづき、初期太陽系における同位体不均一について考察する。 今回は、まず、(巨大)星間分子雲内での星の形成プロセスと、そのうちの大 質量星による核反応生成物質(とくに短寿命放射性核種)の供給について考 える。例として、Super-AGB star 仮説などを紹介する。次に、observe されて いる同位体不均一への説明として、(1)Late injection 説(=太陽系形成と 同時、あるいは形成途中での供給説)、(2)太陽系内での熱プロセスが原因 だとする説(=太陽系の原料物質はさまざまな星起源の成分が均一に混合さ れていたが、太陽系内での熱プロセスにより一部が分解され、結果的に同位 体不均一が見えるようになったとする説)、などを検討する。



2017-5th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Hikari Hasegawa - UTokyo
Place: Room 851 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2017-05-29, 17:30 - 19:00
Title: primitive achondrite中スピネル鉱物中亜鉛濃度
Abstract: 亜鉛の凝縮温度は約660Kであり(Wasson, 1985),隕石中の主要元素であるSiやMg, Feなどと比べて揮発しやすいが,揮発度が高すぎないために隕石の熱史の指標となる(Chikami+, 1999).Chikami+ (1999)では,始原的エコンドライトであるacapulcoite, lodranite, winonaiteのスピネル鉱物中の亜鉛濃度を測定し,始原的エコンドライトの分化度の指標としている.本セミナーでは,Chikami+ (1999)のレビューをした後,スピネル鉱物中の亜鉛濃度の測定をbrachinite(-like)に対して行なった結果を報告する.



2017-6th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Keogo Ito - UTokyo
Place: Room 851 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2017-05-29, 17:30 - 19:00
Title: 輝石の高精度Pb-Pb年代測定に向けた分析手法の開発
Abstract: 輝石の高精度Pb-Pb年代測定に向けた分析手法の開発 要旨:数ある年代測定法の中でU-Pbとその派生法であるPb-Pb 年代測定法は隕石の形成年代を絶対年代という形で最も正確に与えることができる。この年代測定法はジルコンやリン酸塩鉱物に対して適用されることが多いが、なかにはこれらの鉱物を含んでいない隕石種も存在する。そのため本研究では地殻-マントル起源と考えられている隕石種に普遍的に存在する輝石を測定対象としている。輝石の高精度Pb-Pb年代測定に向けてとくに重要となるのは非放射性鉛の除去である。本セミナーでは、非放射性鉛の取り除きのために行われる酸洗浄の過程で、非放射性鉛がどのように溶出しているのかについて酸洗浄前・後の鉱物のSEM画像および酸洗浄液の組成分析を組み合わせて考察を行う。



2017-7th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Takahiro Iida - UTokyo
Place: Room 851 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2017-05-29, 17:30 - 19:00
Title: コンドリュールの高精度Mg同位体測定に向けた元素分離手法の検討
Abstract: 短寿命放射性核種である26Alは半減期73万年で26Mgに壊変する。この26Al-26Mg壊変系列は「初期太陽系において26Alが均一に存在していた」という仮定のもと、主にコンドライト隕石中に含まれる太陽系最初期の物質であるCalcium-Alminium-rich Inclusions(CAIs)やコンドリュール、エコンドライト隕石などの相対年代を議論するために用いられてきた。誘導結合プラズマ質量分析計(ICPMS)を用いた高精度なMg, Al同位体測定によって、Efremovka隕石中のCAIsの(26Al/27Al)0比は5.25×10-5と求められた(Larsen et al., 2011)。しかし、エコンドライト隕石のPb-Pb年代から逆算したCAIsの(26Al/27Al)0比は1.33×10-5と前述の測定結果よりも低い値を示す結果が報告され(Schiller et al., 2015)、原始惑星系円盤における26Alの分布に議論の余地が出てきた。この議論のために高精度なMg同位体分析が求められる中で、試料中のMg成分の分離手法が課題となっている。
本発表では、Yajun et al.(2014)の手法を用いたBCR-2標準溶液のMg分離および試料中のMg存在量による抽出曲線の変化について検討を行った結果について議論したい。




2017-8th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: (canceled)
Place: Room 851 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2017-06-19, 17:30 - 19:00
Title: (canceled)
Abstract: (canceled)



2017-9th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Kotaro Higashi - UTokyo
Place: Room 851 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2017-07-03, 17:30 - 19:00
Title: Kaidun隕石中のエンスタタイトコンドライト岩片の水質変成について
Abstract: エンスタタイトコンドライトは非常に還元的な環境で形成した(e.g., Keil, 1968)とされており、また酸素同位体比が地球の質量分別線上にのる(Clayton, 1993)ため、内側太陽系で形成され、地球の初期物質であった可能性がある(Weisberg and Kimura, 2012)。エンスタタイトコンドライトのうち、角礫岩隕石であるKaidun隕石中で水質変成を受けたエンスタタイトコンドライト岩片が見つかっている(e.g., Zolensky and Ivanov, 2003)。水質変成を受けたエンスタタイトコンドライト岩片の起源を明らかにすることが地球の水の起源を明らかにすることにつながる可能性がある。本セミナーでは水質変成を受けたエンスタタイトコンドライト岩片中の構成物質の分析結果について報告する。



2017-10th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Yuki Hibiya - UTokyo
Place: Room 851 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2017-07-10, 17:30 - 19:00
Title: 惑星物質の高精度Cr, Ti安定同位体測定法の開発とその応用に向けて
Abstract: 近年、始原的隕石および分化隕石の全岩試料について、54Cr, 50Ti安定同位体異常が報告されている(Trinquier, et al., 2007, 2009)。これら鉄族の安定同位体は合成起源が同一で、太陽系初期の環境に化学的制約(超新星爆発起源物質の空間分布等)を与えるトレーサーとしての役割を果たす。また、隕石種ごとに異なる安定同位体異常は、隕石母天体どうしの類縁関係を探る新たなツールとしても注目を集めている(Warren, 2011)。
 質量分析計でCr, Ti安定同位体比測定を行う際、質量数が同じ同重体は測定対象元素の妨害イオンとなってしまう。そのため、化学分離ではこれらの妨害イオンを完全に取り除く必要がある。特に、54Cr, 50Tiには同重体が多く、溶液中では複数の酸化状態をとるため、多段階の化学分離法が必要で(Cr, Ti各々で3~5 step; e.g., Zhang et al., 2011; Schiller et al., 2014)、高回収率(>90%)での分離が困難であった。本研究では対象試料からのCr, Tiの分離を、1つ(3 steps)のカラムケミストリーを用いて、高回収率で(Ti: ~100%; Cr: ~92%)かつ同時に行う化学分離法の開発に初めて成功した。分離後の試料のCr安定同位体比測定にはTIMS(TRITON)を、Ti安定同位体比測定にはMC-ICPMS(Neptune-plus)を用いて、惑星物質の高精度Cr-Ti安定同位体測定法の開発を行った。本発表では、現時点での研究経過と今後の目標について報告する。




2017-11th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Atsushi Takenouchi - UTokyo
Place: Room 851 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2017-09-25, 17:30 - 19:00
Title: 火星隕石の記録する衝突現象
Abstract: 火星隕石、特にシャーゴッタイトは、火星から脱出する際に強い衝撃を受けた可能性があり、様々な衝撃組織を示す。中でもカンラン石の黒色化は火隕石に特有であり、これまでその形成過程や形成条件がNWA 2737(シャシナイト)の研究にもとづいて議論されてきた(e.g., Treiman et al., 2007; Van de Moortèle et al., 2007; Bläß et al., 2010)。しかし、NWA 2737は複雑な衝撃履歴を持つと考えられており(e.g., Bogard and Garrison, 2008)、NWA 2737中の黒色カンラン石はシャーゴッタイト中の黒色カンラン石とは異なる様相を示すため、黒色カンラン石の形成過程・条件はシャーゴッタイトとNWA 2737とで異なると考えられる。本研究ではシャーゴッタイト(及び黒色カンラン石)を様々な手法(偏光顕微鏡、SEM、EPMA、TEM及びSTEM、SR-microXANES、Raman分光)で観察、測定し、衝撃回収実験(及び加熱衝撃回収実験)やiSALEによる衝撃シミュレーションを組み合わせることで多方面から黒色カンラン石の形成過程、形成条件を制約し、黒色カンラン石を含む隕石の衝撃温度圧力履歴の解明をおこなった。



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