惑星物質科学グループ トップへ


2016-1st Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Hajime Hiyagon - UTokyo
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: Apr. 11th 2016, 17:30 - 19:00
Title: SIMSによるコンドライトのメタル粒子中の親鉄性元素分析
Abstract: コンドライトに含まれるメタル粒子の中の微量親鉄性元素(白金族元素など)の濃度をSIMSを用いて分析し, 親鉄性元素の分別という観点から原始太陽系星雲内での物質進化について考察したい。ただ, 今回は, マシンのトラブル等の影響で新しいデータがほとんど得られていないため, 昨年と重複する点が多いが, 背景, モチベーションなどを含めて再度話をしたい。
(1)SIMS用の微量親鉄性元素スタンダードの作成
(2)各元素イオンの相対感度係数
(3)Y 81020 (CO 3.05) コンドライト中のメタル粒子の分析
現在得られているデータによると, コンドルール中のメタル粒子には, Pt, Ir などの難揮発性親鉄元素が濃集している(Feと比較してsolar よりやや多い)ものと, 欠乏しているものがあることがわかった。
これは, 超難揮発性のメタル粒子がコンドルール生成時に不均一に分布していたことを示すのかもしれない。




2016-2nd Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker 1: 飯田享浩 - UTokyo
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: Apr. 18th 2016, 17:30-19:00
Title: ヘリウムイオン照射による有機物の宇宙風化実験およびLIMASを用いたヘリウム分布の測定
Abstract: はやぶさミッションに よって得られたS型小惑星イトカワ表面のカンラン石粒子の希カ?ス同位体分析により, 粒子中に太陽風由来の希カ?ス同位体の存在およひ?4He/20Ne比より, 粒子からの太陽風Heの選択的損失か?確認された(Nagao et al.,2011)。さらに, カンラン石粒子中の20Neの蓄積量と太陽風フラックスより, イトカワ表面の太陽風照射年代は150?450年と見積もられた。また, 2014年12月に打ち上け?られたはやふ?さ2は, C型小惑星「リュウク?ウ」からの有機物や含水鉱物を含む試料のサンフ?ルリターンを目的としており, このC型小惑星もイトカワと同様に太陽風の照射を含む宇宙風化を受けていると考えられ ている。C型小惑星はイトカワと同様なS型小惑星のイトカワに比へ?てより始原的な天体て?, アミノ酸, カルホ?ン酸を始めとする生命の材料となりうる有機物を含む炭素質コント?ライトとの関連か?ある一方て?, 太陽風照射を含む宇宙風化によってC型小惑星における有機物か?と?のように変成・変質するかは明らかになっていない。そこて?, 本研究て?は宇宙風化現象の一つて?ある太陽風照射による有機物の変成・変質の解明の糸口として, 橘省吾准教授か?提供してくた?さった, Kebukawa et al.(2013)の方法を用いて作成した隕石中不溶性有機物(IOM)の模擬物質に太陽風と同程度のエネルキ?ー(4keV)を持つヘリウムイオンを照射する宇宙風化実験を行い, ヘリウムイオンを照射した模擬IOMをレーサ?ーイオン化質量分析名のスコーフ?(LIMAS)によって分析し, 打ち込まれたヘリウムの量・深さ方向分布を調査する。



2016-2nd Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker 2: 音田知希 - UTokyo
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: Apr. 18th 2016, 17:30-19:00
Title: Hコンドライト中のリン酸塩鉱物におけるU-Pb年代分析
Abstract: 普通コンドライトの一種であるHコンドライトには熱変成度に大きなバリエーションが存在することが知られており, そのバリエーションはHコンドライトの母天体の熱史を反映していると考えられている。Hコンドライトの母天体の熱史については, 半径がおよそ100km程度の母天体が放射性核種の崩壊による熱を主とする内部熱源により加熱され, 層構造状の熱変成を受けたとするOnion Shell Modelが提唱されている。このモデルは, これまでにTIMSを用いたPb-Pb年代, Ar-Ar年代およびPuのfission track年代を組み合わせ, それぞれの年代測定の閉止温度の違いを利用して冷却曲線を描き, 数値計算によって引かれた冷却曲線と比較することによって検証が行われており, その結果により支持されている。しかしHコンドライトの母天体の熱史をより深く理解するためにはin-situ分析が有効であると思われる。今回は, これまでに得られたH6, H5, H4の3種類のHコンドライトにおけるNanoSIMSを用いたU-Pb・Pb-Pb年代測定の結果について報告したい。



2016-3rd Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Kotaro Higashi - UTokyo
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: Apr 25th 2016, 17:30-18:30

Title: 日本海表層堆積物中のTL1,TL2層についての無機, 有機地球科学的研究
Abstract: 日本海は対馬海峡, 津軽海峡, 宗谷海峡, 間宮海峡という浅くて狭い4つの海峡によって外洋と海水の交換をしている。そのため海水準変動の影響を受けやすい。最終氷期最寒期では130mの海水準低下があったとされており, このような海水準低下により日本海は閉鎖環境となった。閉鎖環境のような要因により, 海洋循環が停滞すると, 海底の堆積物には葉理が発達するようになる。この微細葉理の発達する層をTL(thinlylaminated)層と呼ぶ。TL層のうちTL1層は最も浅い位置にある微細葉理層であり, 25-45cm程度の厚さで明瞭な微細葉理が発達している。 1万1,600年前のヤングドリアス期後の温暖化により, 黒潮の勢力が強まり, 親潮が後退, これに合わせて対馬海流が流入するようになり, 親潮から対馬海流への過渡期に, 日本海の表層水がいったん停滞したために, 海底が還元的となり形成したとされている。TL2層は最上部にJo- 1, 中部にJo-2という上越沖特有のテフラを挟み, 下位にはTL3, TL4を挟んでAT層があり最も厚く連続的に微細葉理が発達している。2万4,000〜1万7,000年前の最終氷期最寒期に, 海水準が低下し, 日本海は閉鎖海域となり, 降雨や降雪, 河川水の流入により表層海水は低塩分化し, 海水の成層構造が発達し, 陸上からの有機物混入も増加して, 海底は無酸素で硫化水素を含む還元的な環境となり厚いTL2層が形成したとされている。今回TL1,2層の堆積環境, 形成要因を再検証するために, 上越沖でのMrion Dufresne号によるMD179航海において2010年6,7月に採取されたコアを用いて無機, 有機分析を行った結果について発表する。



2016-4th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker 1: Yoshitaka Homma - UTokyo
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: May 2nd 2016, 17:30-18:30
Title: 石鉄隕石のHf-W同位体年代学:鉄隕石モデル年代の見直し
Abstract: 初期太陽系における微惑星の集積と分化を理解するにあたり, メタルが分離し た時期を制約することは重要な問題である。鉄隕石は太陽系初期数十万 年に形成され, 分離が起こったと言われているため, これの母天体のコア-マントル形 成タイミングを知ることが重要視されている。 現在メタルの分離を推定する年代計で最も優れているのがHf-W同位体年代系で ある。これは, Hf-W同位体系が
1.)半減期が8.9Myrである
2.)親核種のHfは親石性元素, 娘核種のWは親鉄性元素である
3.)Hf, W共に難揮発性元素である
といった特徴をもつためである。しかしながら鉄隕石単独ではアイソクロンを引 くことが出来ず, 現在ではコンドライトの値を併用したモデル年代で議 論が行われている。このモデル年代は鉄隕石の母天体とコンドライトの母天体が同一の 初生Hf-W同位体組成を持っていたという仮定の下で成り立っ ているが, 当然こ の仮定が異なれば誤った値を使用して議論を行っていることになる。そこで当研究では, IIIAB鉄隕石と起源を同一とすると考えられているパラサ イトを用いて, このモデル年代が妥当であるか検討することを目標 とする。石鉄隕石であるパラサイトはSilicateとMetalの両方を持つため, 単一の隕石でア イソクロンを引くことができ, モデル年代の妥 当性を検討することが出来る。 今回の発表ではBrenha (Pallasite)に対して行った測定の現時点での結果を紹介 します。




2016-4th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker 2: Atsushi Takenouchi - UTokyo
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: May 2nd 2016, 17:30-18:30
Title: 隕石に含まれる着色カンラン石の詳細分析
Abstract: 火星隕石には黒く着色したカンラン石(黒色カンラン石)が多く報告されている。これまでの電子顕微鏡による詳細な研究によると, 黒色カンラン石中には金属鉄や磁鉄鉱のナノ粒子の存在が報告されており, それらは火星から飛び出す際の強い衝突イベントにより形成され, カンラン石の黒色化の原因になっていると考えられている。そのため黒色カンラン石の形成過程や形成条件を探ることは火星隕石の衝撃履歴の解明に繋がると考えられる。黒色化(ナノ粒子の晶出)には様々な形成過程が考えられているが, 私達のこれまでの研究で, 黒色化は高温での高圧相転移(その後高圧相は低圧相に再度相転移する)に伴い引き起こされる可能性が示唆された。特に, NWA 1950(シャーゴッタイト)の黒色カンラン石中には高圧相転移の証拠と考えられるラメラ組織が見つかっており, Tissint(シャーゴッタイト)中のわずかに着色した領域にも同様のラメラが見られている。一方で他の天体起源の隕石に於いては, 例えば月隕石に赤く着色したカンラン石が報告されている(しかし, こちらは地球上での風化の可能性も考えられる)。今回のセミナーではこれまでの火星隕石にこの月隕石のデータを加えて, 隕石中の着色カンラン石の簡単な紹介をメインに形成過程及び衝撃との関係についてを時間の許す範囲で紹介します。



2016-5th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Naoji Sugiura, Mizuho Koike
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: May 9th 2016, 17:30-19:00
Title: Mesosiderites: a probe of early interplanetary environment?
(メソシデライトAsuka-882023ジルコンのU-Pb・Hf-W年代分析)
Abstract: Mesosiderites were located near the surface of a differentiated parent body. They were reheated to ~ 1000 C at about 4520 Ma. Subsequently, they cooled rapidly as recorded by the silicates. However, their cooling rates below ~ 400 C as recorded by the Fe-Ni metal are the slowest among all the meteorites. In this talk, I suggest that electromagnetic induction due to changing solar-wind magnetic field could be the heat source for the reheating event and also during the very slow cooling period. I note, however, quantitative evaluation of this model is not yet fully successful.
 メソシデライトは石鉄隕石の主要なグループの1つで, Fe-Ni合金とHED隕石に似た組成のケイ酸塩鉱物から構成される。この隕石グループは, 分化天体の地殻とコアの混合で形成されたと考えられるが, その形成史はよく分かっていない。一方で, メソシデライトケイ酸塩中のジルコンは, (1)母天体の地殻形成時に結晶化し, (2)メタル混合イベントで過成長(または再結晶)を経験したと考えられ, メソシデライト隕石の形成プロセスと母天体の熱変成史についての情報を与えると期待される。
 本研究では, メソシデライトA-882023中の比較的大きなジルコンに対し, NanoSIMSにてU-Pb年代分析・Hf-W年代分析を行った。セミナーでは, これまでの結果を報告し, 先行研究にて示されている他の年代値と比較して議論したい。




2016-6th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Yu Inoue
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: May 30th 2016, 17:30-19:00
Title: Augite-bearing ureiliteの岩石鉱物学的研究
Abstract: Ureiliteはolivineやpyroxene、carbonaceous matter、Fe-metal、sulfideで構成される(Mittlefehldt et al. 1998)。Ureiliteは含まれるpyroxeneの種類によって3つのサブグループに分けられる。その中でもaugiteを含むureiliteは化学組成や組織的特徴から、その他2つのlow-Ca pyroxene (lCp)を含むureiliteと区別できる。Augite-bearing ureiliteのolivineのFe/Mn-Fe/Mg組成は、溶融残渣であると考えられているolivine-lCp ureiliteのトレンドと明確に異なる(Goodrich and Delaney, 2000)。また、augite-bearing ureiliteには、メルトとの反応関係を示すものや、メルトインクルージョンを含むものがある。これらのaugite-bearing ureiltieが持つ特徴は、母天体上での火成活動を示唆していると考えられ、ureiliteの分別過程を考える上で非常に重要である。本研究では、より多くのaugite-bearing ureiliteの観察・分析をすることで、augite-bearing ureiliteとolivine+lCp ureiliteとの成因的関係を明らかにしたいと考えている。今回は、olivine-opx-augiteで構成されるureiliteの分析結果を中心に報告する。



2016-7th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Akinobu Hayakawa
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: June 6th 2016, 17:30-19:00
Title: 高精度Al-Mg同位体測定を用いた初期太陽系における26Al分布の解明
Abstract: 短寿命放射性核種である26Alは半減期73万年を経て26Mgに壊変する。この壊変系は主にコンドライト隕石に含まれている太陽系最初期に形成した物質Calcium, Aluminum-rich Inclusions(CAIs)とコンドルールの相対的な年代を議論するために用いられてきた。二次イオン質量分析計(SIMS)を用いたその場分析から、それらの年代差は200~300万年であることまで分かってきた。また誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)を用いたCAIsの高精度な同位体測定では、初期太陽系における26Alの初生比(26Al/27Al)0が5.25 x 10-5であったことまで分かっている(Jacobsen et al. 2008; Larssen et al. 2011)。しかし近年、エコンドライトの母天体集積時における26Alの存在比について議論がされている。絶対年代が分かっているエコンドライトの26Al/27Alの存在比から逆算した26Al初生比は1~2 x 10-5であることが明らかとなった(e.g. Schiller et al. 2015)。この値はCAIsから求められた初生比よりも有意に低い値を示し、原始太陽系円盤における26Al/27Alの均一性について議論の余地が出てきた。そこで本研究は26Alの分布を明らかにすることを目的として、ICP-MSによる高精度Al-Mg同位体測定の準備を進めている。今回の発表では現時点でのMg同位体分析における課題と、研究の対象としている「普通コンドライトコンドルールAl-Mgバルクアイソクロン」の重要性について議論したい。



2016-8th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Mizuho Koike
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: June 13th 2016, 17:30-19:00
Title: ユークライト隕石アパタイトのU-Pb年代・水素同位体比分析
Abstract: 地球型惑星の環境進化史を議論する上で、水の起源(供給源・タイミング・プロセス)の解明は非常に重要な課題の1つである。ユークライト隕石は分化小惑星(Vesta)の地殻物質であり、初期地球型惑星の進化過程を記録する。そのため、ユークライトは原始惑星の水の起源について情報を与えると期待される。一方で、複雑な衝撃加熱を経験した隕石から母天体の元の情報を引き出すことは難しい。本研究では、ユークライト母天体における水の起源の解明を目的に、隕石中のアパタイトが持つU-Pb年代情報と水の情報をNanoSIMS局所分析にて調べている。これまでに、変成度の異なる複数の玄武岩質ユークライト(Agoult, Camel Donga, Stannern)について、アパタイトの年代と含水量・水素同位体比を調べた。本セミナーでは、これまでの結果とその解釈、および今後の展望をお話しして、皆様のご意見をうかがいたい。



2016-9th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Yuki Hibiya
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: June 20th 2016, 17:30-19:00
Title: MC-ICPMSを用いた惑星物質の高精度Cr,Ti安定同位体比測定法の確立
Abstract: 近年、始原的隕石および分化隕石の全岩試料について、54Crや50Tiなどの遷移金属安定同位体異常が報告されている (Trinquier, et al., 2007. 2009)。これら鉄族周辺の安定同位体は合成起源が同一で、太陽系形成初期の環境に化学的制約(超新星爆発起源物質の空間分布など)を与えるトレーサーとしての役割を果たす。また、酸素同位体Δ17O (Clayton and Maeda, 1991, 1996, 1999)と同様、隕石種ごとに異なる安定同位体異常は、隕石母天体どうしの類縁関係を探る新たなツールとしても注目を集めている (Warren, 2011)。しかし、各隕石グループにおいて、Cr, Ti安定同位体組成が求められている試料は未だ少なく、Warren (2011)の多くのデータは、同一グループ内の別の隕石データ(Cr: mainly TIMS, Ti: mainly MC-ICPMS)をコンパイルしている。そこで本研究では、隕石試料から1つ(3-5 step) のカラムケミストリーで Cr, Tiの化学分離を行い、双方の高精度安定同位体比測定をMC-ICPMSを用いて行うことで、惑星物質の高精度Cr-Ti同位体システマティクスを確立することを目的としている。本発表では、惑星物質のCr, Ti 安定同位体についてのレビューと、現時点での研究経過を報告する。



2016-10th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Kohei Fukuda
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: July 4th 2016, 17:30-19:00
Title: 宇宙線照射履歴から考察するCAIおよびコンドルールの形成環境
Abstract: 10Beは半減期140万年で10Bに壊変する短寿命放射性核種であり、イオンマイクロプローブを用いたCa, Al-rich inclusionの分析から初期太陽系に10Beが存在したことが明らかとなっている。10Beは他の消滅核種(例えば26Al, 41Ca, 60Fe)とは異なり星の核合成過程では生成できず、主な起源が高エネルギー宇宙線による核破砕反応という点で興味深い核種である。しかし、太陽系における10Beの起源は未だ明らかになっていない。その起源として有力視されているは、(1)分子雲における核破砕反応および銀河宇宙線の捕獲、(2)若い太陽由来の宇宙線照射による核破砕反応である。(1)の場合、10Beは初期太陽系に均一に分布した可能性が高く、年代測定に有用な核種となる。(2)の場合は、その生成率は対象物質の被った宇宙線照射履歴に依存するので、主に形成場の情報になり得る。いずれにせよ、10Beは初期太陽系における物質進化を議論する上で有用な核種である。本研究では10Beの起源に言及しつつ、CAIとコンドルールの形成過程に宇宙線照射の観点から制約を与えるため、イオンマイクロプローブを用いたBe-B系,Al-Mg系, および酸素同位体比分析を計画している。本発表では、主にBe-B系の研究についてレビューし、現在行っている分析手法の改善点(主に相対感度係数の決定)や実際にCAI・コンドルールを分析した結果について報告する。



2016-11th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: (canceled)
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: July 11th 2016, 17:30-19:00
Title: canceled
Abstract: canceled



2016-12th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Haruka Ono
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: October 3rd 2016, 17:00-18:00
Title: ユークライト中のシリカ多形について
Abstract: シリカ鉱物は地球上では地殻を構成する主要な造岩鉱物の一つとして存在しており、様々な温度圧力条件によって23種以上の多形を持つことが知られている(Sosman R. B. 1965)。しかし地球外物質中でのシリカ鉱物の報告例はあまり多くはない。なぜなら、シリカ鉱物は部分溶融によって晶出しやすいため、未分化では出にくく、また分化隕石はシリカ成分の少ない玄武岩質のものが多いからである。分化した隕石であるエコンドライト中でのシリカ鉱物としては、主に輝石や斜長石を含む玄武岩での結晶化末期の副成分鉱物としての報告がある(Leroux H. and Cordier P. 2006)。それらのシリカ鉱物は隕石ごとに幾つかの異なる多形(α-quartz, tridymite,cristbalite etc.)として存在することが知られている(e.g. Kimura. et al. 2005)。また、ユークライト中では水により沈殿したと考えられているQuartzの報告(Treiman A. et al. 2004)や、TridymiteからQuartzへの転移から、熱水活動があったことを示唆する報告(Kanemaru et al., 2016)も存在する。しかし、多くの場合、それらは"silica"と記載されるのみであり、詳細な分析や、シリカ鉱物に着目した議論はほとんど行われていない。このため、隕石中のシリカ鉱物は、その隕石が含まれていた岩体の温度圧力履歴の条件や熱水活動などの形成環境を推測する一つの指標になり得ると考えられるものの、あまり注目されていないのが実状である。本研究では、月、火星、HED隕石、地球のそれぞれの玄武岩中に存在するシリカ多形を比較することによって、各天体ごとの玄武岩形成時における温度圧力履歴の条件および冷却過程の差と形成環境について検討していくということを目標に研究を行ってきた。冷却速度の差による違いを考慮するために、それぞれの天体起源の隕石から、粗粒な玄武岩と細粒な玄武岩の少なくとも2種類を用いて研究を行う予定である。今回の発表では、シリカ鉱物の存在が多く報告されてきたEucrite隕石を用いたこれまでの研究成果を報告したい。その隕石の冷却過程や形成環境とSilicamineralsの転移速度や周辺の鉱物組み合わせを考慮し、母天体と考えられているVesta地殻の形成について考察していきたい。




2016-13th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Kotaro Higashi
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: July 25th 2016, 17:30-19:00
Title: Kaidun隕石中のエンスタタイトコンドライト岩片の水質変成について
Abstract: Kaidun隕石は様々な隕石の岩片を含む角礫岩隕石である。含まれる岩片にはEH3-5,EL3,CV3,CM1-2,CI1,R,Oコンドライト岩片、始原的エコンドライト岩片がある(MacPherson et al., 2009)。またKaidun隕石中の物質は様々な度合い、種類の変成を受けている(Zolensky and Ivanov, 2003)。このように多様な物質を含んでいるため、小惑星帯の多様性を知るうえで重要である。Kaidun隕石では水質変成したエンスタタイトコンドライト岩片が見つかっており(Zolensky and Ivanov, 2003)、還元環境の小惑星は酸化、加水イベントから必ずしも逃れられなかった証拠、また地球型惑星の元物質の可能性があるとされている(Zolensky et al., 2014)。本発表ではKaidun隕石の紹介およびエンスタタイトコンドライトの水質変成についてのレビューを行いたい。



2016-14th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Geneviève Hublet (NIPR)
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2016-10-17, 17:00-18:00 (Japan standard time)
Title: Early Solar System chronology: a study of 26Al-26Mg isotopic system on achondrite
Abstract: The main goal of this PhD was the development of 26Al-26Mg short-lived chronometer at Laboratoire G-Time in Université Libre de Bruxelles to obtain high resolution dating of planetary differentiation. In this study, two different groups of differentiated meteorites (achondrites) were investigated: Howardite-Eucrite-Diogenite (HED) group and ureilites. The HED group is igneous meteorite series well known to originate from asteroid Vest. Dating these meteorites with 26Al-26Mg can give us information about the formation and evolution of Vesta during the first millions years (Ma) of our Solar System. Whole rock and internal isochrons have been obtained on 10 eucrite (basaltic and cumulate) and diogenites. Crystallization ages obtained from internal 26Al-26Mg systematic in basaltic eucrites show that Vesta’s upper crust was formed during a short period of magmatic activity at 2.66 ± 0.73 Ma after the Solar System formation (assf). In opposition, cumulate eucrites crystallized progressively, deeper in the Vesta’s crust from 5.48 ± 0.77 to >8 Ma assf. The 26Al-26Mg systematic in diogenite show that they likely formed after the complete decay of 26Al and are younger than both type of eucrites. Model isochrons were also performed considering a chondritic composition of Vesta parent body. Model ages obtained for both basaltic and cumulate eucrites are similar and suggest a common eucrite source differentiated from a chondritic reservoir at 2.88 ± 0.13 Ma assf. Ureilite are the second largest group of differentiated meteorites after the HED meteorite groups. There are ultramafic achondrites usually known to come from a single parent body (UPB) that was completely destroyed early in the Solar System history. These achondrites are highly fractionated igneous rock but have also some primitive characteristics, such as heterogeneous Δ17O values, suggesting a complex history for their formation. Only whole rock isochron can be performed due to the mineralogy homogeneity of ureilites. Results obtained show that ureilites do not have the same crystallization ages or do not share the same source. Some other stable isotopes (Δ17O, δ25Mg, δ57Fe and δ66Zn) were also investigated in our samples to answer at two major questions: Is there one or more UPB; what are the asteroid processes that formed ureilites? Based on our results, we suggest that ureilites are formed by smelting process (evidenced by δ66Zn isotopic signatures) from a precursor with a composition similar to CI type chondrite. Aluminium-26-26Mg model age obtained suggest also that the UPB differentiated at 1.09 ± 0.75 Ma assf which is ~1.8 Ma before Vesta differentiation.



2016-15th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker-1: 飯田享浩(Hajime Hiyagon Lab., M1)*
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2016-10-24, 17:00-18:30 (Japan standard time)
Title: コンドライト隕石中のメタル粒子の二次イオン質量分析
Abstract: コンドライト隕石の主要構成成分の1つであるFe-Niメタルは、マトリックス・コンドリュールなどと共存しており、メタルの形成には星雲ガスからの直接凝縮やコンドリュール形成時にシリケート相のFeOの還元など、様々な説が議論されているが成因はまだ明らかになっていない。コンドライト隕石は母天体において大規模な分化過程を経験しておらず、初期太陽系の情報を含んでいると考えられているため、メタルの成因を明らかにすることは初期太陽系の物質進化過程を解明する上で非常に重要であると考えられる。本発表ではCampbell et al.(2005)の紹介を中心に、これからの研究予定についてお話させていただきたい。

Speaker-2: 伊藤健吾(Tsuyoshi Iizuka Lab., M1)
Title: ICP-MSを用いた鉛同位体比分析の高精度化
Abstract: 初期太陽系の固体惑星物質進化を語る上で、固体惑星物質に正確な’年代値'を与えることは重要である。数ある年代測定法の中でウラン-鉛年代測定法とその派生である鉛-鉛年代測定法は、二つの壊変系列を有するという特異性から、古い試料の正確な年代値を求めるのに頻繁に用いられる(Amelin etal. 2010; Connelly et al. 2012 など)。
本発表では、実際に高精度鉛同位体比を測定するのに使われる質量分析計TIMSとICPMSの比較を行い、ICPMSで高精度かつ高確度の年代値を求めるために注意が必要な点をまとめた上で、現在行っているICPMSの性能評価(質量分別効果、同重体干渉)の結果についても報告する。




2016-16th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Yoshitaka Homma(Tsuyoshi Iizuka Lab., M2)*
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2016-10-31, 17:00-18:30 (Japan standard time)
Title: 石鉄隕石のHf-W同位体年代学:鉄隕石モデル年代の見直し
Abstract: 初期太陽系における微惑星の集積と分化を理解するにあたり、メタルが分離し た時期を制約することは重要な問題である。鉄隕石は太陽系初期数十万年に形成され、分離が起こったと言われているため、これの母天体のコア-マントル形成タイミングを知ることが重要視されている。現在メタルの分離を推定する年代計で最も優れているのがHf-W同位体年代系である。これは、Hf-W同位体系が
1.)半減期が8.9Myrである
2.)親核種のHfは親石性元素、娘核種のWは親鉄性元素である
3.)Hf, W共に難揮発性元素である
といった特徴をもつためである。しかしながら鉄隕石単独ではアイソクロンを引 くことが出来ず、現在ではコンドライトの値を併用したモデル年代で議論が行われている。このモデル年代は鉄隕石の母天体とコンドライトの母天体が同一の 初生Hf-W同位体組成を持っていたという仮定の下で成り立っ ているが、当然こ の仮定が異なれば誤った値を使用して議論を行っていることになる。そこで当研究では、IIIAB鉄隕石と起源を同一とすると考えられているパラサイトを用いて、このモデル年代が妥当であるか検討することを目標とする。石鉄隕石であるパラサイトはSilicateとMetalの両方を持つため、単一の隕石でア イソクロンを引くことができ、モデル年代の妥 当性を検討することが出来る。 今回の発表ではBrenha (Pallasite)に対して行った測定の現時点での結果を紹介します。




2016-17th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Akinobu Hayakawa(Hajime Hiyagon Lab., M2)
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2016-11-07, 17:00-18:30 (Japan standard time)
Title: ICPMSを用いた普通コンドライトコンドルールの高精度Mg同位体分析
Abstract: 短寿命放射性核種である26Alは半減期73万年を経て26Mgに壊変する。この壊変系は主にコンドライト隕石に含まれている太陽系最初期に形成した物質Calcium,Aluminum-rich Inclusions(CAIs)とコンドルールの相対的な年代を議論するために用いられてきた。二次イオン質量分析計(SIMS)を用いたその場分析から、それらの年代差は200~300万年であることまで分かってきた。また誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)を用いたCAIsの高精度な同位体測定では、初期太陽系における26Alの初生比(26Al/27Al)0が5.25 x 10-5であったことまで分かっている(Jacobsen et al. 2008; Larssen et al. 2011)。しかし近年、エコンドライトの母天体集積時における26Alの存在比について議論がされている。絶対年代が分かっているエコンドライトの26Al/27Alの存在比から逆算した26Al初生比は1~2 x 10-5であることが明らかとなった(e.g. Schiller et al. 2015)。この値はCAIsから求められた初生比よりも有意に低い値を示し、原始太陽系円盤における26Al/27Alの均一性について議論の余地が出てきた。そこで本研究は26Alの分布を明らかにすることを目的として、ICP-MSによる普通コンドライトコンドルールの高精度Mg同位体分析を進めている。今回の発表では炭素質コンドライトのコンドルールに関するAl-Mgバルクアイソクロンのレビューを行うとともに、現時点での分析結果について報告する。



2016-18th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Haruka Ono(Takashi Mikouchi Lab., M2) - UTokyo
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2016-11-14, 17:00-18:30 (Japan standard time)
Title: ユークライト隕石中のシリカ多形体
Abstract: シリカ鉱物は地球上では地殻を構成する主要な造岩鉱物の一つとして存在しており、様々な温度圧力条件によって23種以上の多形を持つことが知られている(Sosman R. B. 1965)。隕石中でのシリカ鉱物は、例えばエンスタタイトコンドライト中のシリカ多形体はマグマの初生的な温度を保持していると考えられており(Kimura et al., 2005)、集積岩ユークライト中では水の存在を示すようなQuartzの脈が報告されている(Treiman et al.,2004)。このように、シリカ鉱物は隕石の形成環境を推測するのに有用な鉱物であるが、多くの場合は”Silica”のみの記載だけであり、詳細な研究はあまり行われていない。そこで、本研究ではシリカ鉱物を比較的多く含むユークライト隕石中のシリカ鉱物に着目し、母天体と考えられている小惑星ベスタの近くの形成史や環境について新たな制約を与えることを試みた。今回の発表では、これまで研究してきた集積岩ユークライトと角礫岩ユークライトのそれぞれの中に存在するシリカ鉱物についての報告を行う。中でも、角礫岩ユークライト中に確認されたシリカ鉱物の3相共存においての考察を最近行ったユークライト隕石の加熱実験の結果を含めて行いたい。



2016-19th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Hikari Hasegawa(Takashi Mikouchi Lab., D1) - UTokyo
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2016-11-28, 17:00-18:30 (Japan standard time)
Title: Brachiniteとその関連隕石の記録する惑星分化過程の理解に向けて
Abstract: 始原的エコンドライトと呼ばれる隕石グループは火成岩組織を持つ一方で,全岩化学組成などが太陽系の始原的物質であるコンドライトに類似しており,微惑星における溶融・火成活動の最初期に形成された物質であると考えられている [e.g., Mittlefehldt et al.,1998].特に,Brachiniteというカンラン石に富む隕石グループは4563.7 ± 0.9 Ma (Brachina, [Wadhwa et al., 1998])という非常に古い形成年代が報告されており,太陽系最初期の惑星分化過程の情報を持っていることが期待される.しかし,その形成起源はまだ統一的理解が得られておらず、主に部分溶融残渣[e.g.,Goodrich et al., 1998]と火成集積岩[e.g., Mittlefehldt et al.,2003]などの起源が議論されている.さらに近年,Brachinite に類似した ”Brachinite-like”と呼ばれる隕石が発見されており,Brachinite の形成過程の理解に重要であると考えられる.本研究ではBrachinite(-like)隕石を岩石鉱物学的視点から研究を行い,その形成過程に制約を与えることで,太陽系最初期の惑星分化過程の新たな知見を得ることを目指している.今回の発表では,Brachiniteに関する簡単なレビューを行う.



2016-20th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Sachiko Amari (Research Professor) - Washington University in St. Louis
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2016-12-05, 17:00-18:30 (Japan standard time)
Title: The development of the presolar grain study
Abstract: プレソーラー粒子と呼ばれる太陽系生成以前に星でできた粒子の研究は1980年代の終わりから始まった。プレソーラー粒子とは何か、それらを調べるとどのようなことがわかるか、といった事と共に、どのような技術や装置の発展・開発がプレソーラー粒子研究の研究の発展に寄与してきたかということを述べる。また私見であるが今後のプレソーラー粒子研究がどの方向に向かうと予想されるか、ということを述べる。



2016-21st Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Minato Tobita(Tetsuya Yokoyama lab., M2) - Tokyo Tech.
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2016-12-12, 17:00-18:30 (Japan standard time)
Title: New Constraints on Shergottite Petrogenesis from Analysis of the Pb Isotopic Compositional Space: Implications for Mantle Heterogeneity and Crustal Assimilation on Mars
Abstract: Geochemical studies of shergottites (Martian basalts) based on Rb-Sr, Sm-Nd, and Lu-Hf isotopic systematics have provided clues to understanding the geochemical evolution of the Martian mantle and identification of the source reservoirs. However, U?Pb isotopic systematics has been used to a limited extent for shergottite petrogenesis, because it is generally difficult to discriminate indigenous magmatic Pb components from secondary Martian near-surface components and terrestrial contamination. This study compiles and reassesses all the available Pb isotopic data of shergottites, as well as their Rb-Sr, Sm-Nd, and Lu-Hf isotope systematics.
The Sr-Nd-Hf isotopic systematics suggests that the geochemical variability of the shergottite suite (i.e., enriched, intermediate, and depleted shergottites) reflects a mixture of two distinct source reservoirs. In contrast, the Pb isotopic systematics does not support the two-component mixing model for shergottites, because the geochemically enriched, intermediate, and depleted shergottites do not participate in a two-component mixing array in Pb isotopic space. To reconcile the isotopic signatures of the Sr-Nd-Hf and Pb systems, we propose a new mixing model in which the geochemically enriched, intermediate, and depleted shergottites were derived from compositionally distinct mantle sources that had different μ (238U/204Pb) values. Moreover, a linear mixing trend defined by the enriched shergottites in Pb isotopic spaceis interpreted as the incorporation of a high-μ Martian crustal component into a parental magma derived from a fertilized Martian mantle source. Our model implies that the geochemical diversity of shergottites reflects heterogeneous mantle sources and an assimilated high-μ crustal component on Mars.




2016-22nd Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker-1: Akinobu Hayakawa(Hajime Hiyagon Lab., M2) - UTokyo
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2017-01-16, 17:00-18:30 (Japan standard time)
Title: ICPMSを用いた普通コンドライトコンドルールの高精度Mg同位体分析
Abstract: 短寿命放射性核種である26Alは半減期73万年を経て26Mgに壊変する。この壊変系は主にコンドライト隕石に含まれている太陽系最初期に形成した物質Calcium, Aluminum-rich Inclusions(CAIs)とコンドルールの相対的な年代を議論するために用いられてきた。二次イオン質量分析計(SIMS)を用いたその場分析から、それらの年代差は200~300万年であることまで分かってきた。また誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)を用いたCAIsの高精度な同位体測定では、初期太陽系における26Alの初生比(26Al/27Al)0が5.25 x 10-5であったことまで分かっている(Jacobsen et al. 2008; Larssen et al. 2011)。しかし近年、エコンドライトの母天体集積時における26Alの存在比について議論がされている。絶対年代が分かっているエコンドライトの26Al/27Alの存在比から逆算した26Al初生比は1~2 x 10-5であることが明らかとなった(e.g. Schiller et al. 2015)。この値はCAIsから求められた初生比よりも有意に低い値を示し、原始太陽系円盤における26Al/27Alの均一性について議論の余地が出てきた。そこで本研究は太陽系最初期におけるAl-Mg系の同位体組成を考察することを目的として、ICP-MSによる普通コンドライトコンドルールの高精度Mg同位体分析を行った。今回の発表では修論発表に向けて、得られた分析結果についての解釈と今後に残された課題について議論したい。



2016-23rd Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker-1: Yoshitaka Homma(Hajime Hiyagon Lab., M2) - UTokyo
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2017-01-23, 17:00-18:30 (Japan standard time)
Title: Hf-W chronology of the Pallasite Brenham
Abstract: 石鉄隕石であるパラサイト隕石は岩石学的・ 化学的な研究から、その形成過程は(1)コア-マントル境界における分別結晶化過程、(2)破壊的な衝突によるマントルと液体コアの混合、によるものであると考えられている。いずれにせよ、パラサイト隕石の特徴から、その母天体では大規模な熱イベントが起こったことが考えられるため、その時期を制約することは初期太陽系における惑星進化を解明するのに重要である。これまでの研究でAl-Mg、Mn-Cr年代といった短寿命放射性核種を用いた年代法が適用されてきたが、熱イベントに強い制約を与える事の出来るHf-W年代については具体的な報告が未だに成されていない。当研究ではパラサイト隕石の一つであるBrenham隕石を用いて、石鉄隕石のHf-W同位体年代を調査した。その結果、BrenhamのFe-Niメタルがε182W = -3.5と、IIIABの鉄隕石と同様の値を持ち、太陽系最古の物質といわれるCAIの形成からモデル年代-0.22 Maという非常に古い年代を示すことが判明した。また、Brenhamのカンラン石からW同位体比を求めることに成功し、単独の隕石からアイソクロンを引ける可能性が示された。

Speaker-2: Haruka Ono(Takashi Mikouchi Lab., M2) - UTokyo
Title: ユークライト隕石中のシリカ鉱物の鉱物学的研究 Abstract: シリカ鉱物は地球上では地殻を構成する主要な造岩鉱物の一つとして存在しており、様々な温度圧力条件によって23種以上の多形を持つことが知られている(Sosman R. B. 1965)。隕石中でのシリカ鉱物は、例えばエンスタタイトコンドライト中のシリカ多形体はopaque mineralsでは得られなかった高温、低温の両領域での情報を保持していると考えられている(Kimura et al., 2005)。また、集積岩ユークライト中では水の存在を示唆するようなQuartzの脈が報告されている(Treiman et al., 2004)。このように、シリカ鉱物は隕石の形成環境を推測するのに有用な鉱物であるが、多くの場合は”Silica”のみの記載だけであり、詳細な分析や相同定はあまり行われていない。そこで、本研究ではシリカ鉱物を比較的多く含むユークライト隕石中のシリカ鉱物に着目し、母天体と考えられている小惑星ベスタの地殻の熱履歴や形成環境について新たな制約を与えることを試みた。今回の発表では、修論発表会に向けて、これまで行ってきたユークライト中のシリカ鉱物の観察およびユークライト隕石の結晶化実験の結果をふまえ、シリカ鉱物が記録する小惑星ベスタ地殻での火成・変成過程について考察する。



2016-24th Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Kohei Fukuda(Hajime Hiyagon Lab., D3) - UTokyo
Place: Room 839 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2017-02-06, 17:00-18:30 (Japan standard time)
Title: 惑星物質の10Be-10B分析: 10Beの起源およびコンドルール形成過程への制約
Abstract: 短寿命放射性核種である10Be(半減期140万年)は、星の核合成では生成できず、宇宙線による核破砕反応によって生成し得る核種であり[Gounelle+,2001, 2006.*ApJ*]、惑星物質と高エネルギー宇宙線の相互作用の指標として用いられてきた。しかし近年、超新星爆発時のニュートリノ破砕反応によって10Beを生成するモデルが提唱され[Yoshida+, 2008.*ApJ*; Banerjee+, 016.*Nat.com*]、10Beの起源について再考の余地が出てきた。前者が正しいとすると、10Be存在度は太陽からの宇宙線フラックスや太陽からの距離に依存して変化することが予想される。つまり、惑星物質の形成場の情報になり得る可能性を秘めている。一方、後者の場合は26Alなどに代表される他の消滅核種の起源や、太陽系形成当時の原始太陽系円盤環境の推定への新たな制約材料となる可能性がある。いずれにせよ、10Beの起源を特定することは、初期太陽系における円盤環境・物質進化を考察する上で重要である。太陽系最初期に形成したとされるCa, Al- rich Inclusion (以下、CAI)に対する10Be-10B分析は過去に数例報告されており[例えばMcKeegan+, 2000. *Science*]、初期太陽系の10Be存在度には大きなバリエーション[(10Be/9Be)0 = 10-4~ 10-2]があったことが指摘されている。しかし、これらの研究では分析の際に適切な標準試料を用いておらず、求められた10Be存在度の確度に問題がある。本研究では、SIMS分析用の適切な標準試料を準備した上でCAIの記録する正確な10Beおよび26Al存在度を決定し、各モデルから予測される10Beおよび26Al生成量と比較することで10Beの起源を推定することを試みた。また、これまで分析例のなかったコンドルールにも分析手法を適用し、CAIの結果と比較することで、コンドルール形成過程への制約を試みた。本発表では、(1)作成したスタンダードを用いたキャリブレーション法、(2)COおよびCHCAIのBe-BおよびAl-Mg分析、(3)ungrouped炭素質隕石中のコンドルールのBe-B分析 の結果を報告する。



2016-extra.1 Experimental Planetary Sciences Seminar, UTokyo

Speaker: Wataru Fujiya(Assistant Professor) - Ibaraki University
Place: Room 851 Faculty of Science Bldg.1, UTokyo
Time: 2017-02-13, 16:00-17:00 (Japan standard time)
Title: CMコンドライト中の始原水の酸素同位体比
Abstract: コンドライト中の水の酸素や水素同位体比は、その水の起源、さらには地球型惑星に含まれる水の起源を推定するうえで重要である。本講演では、CMコンドライト中の水の酸素同位体比を、バルクの酸素同位体比および 水素の存在量から推定する研究について紹介する。



■ホーム
■研究
■メンバー
■セミナー
■論文
■機器
■リンク

The University of Tokyo > School of Science > Department of Earth and Planetary Science > Space & Planetary Science @UT > Top page
All Rights Reserved, Copyright (C) 2002 Planetary Material Sciences Laboratory, The University of Tokyo