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第1回宇宙地球同位体科学セミナー(2009年度)

speaker: 飯塚毅
place: Room851 理学部1号館
time: 2009年 4月9日〔木)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「Deciphering the early Solar System chronology and planetary chemistry using meteoritic zircon」
内容:
太陽系初期には,宇宙塵の蒸発・凝縮,集積,微惑星形成,ジャイアントインパクト,コア形成,マグマオーシャン形成など,その後の惑星の運命を大きく左右するようなイベントが,<10Myrの間に起こっていたと考えられる.これらのイベントが,いつ・どのように起こったかを正確に知ることは,太陽系及び惑星進化を理解する上で,必要不可欠である.これらの初期太陽系イベントの年代測定には,短寿命核種を用いた同位体年代法が多く用いられている(例えば,Hf-W年代法は凝縮過程やコア形成,Nb-Zr年代法はマグマオーシャンの固化の年代測定に適用できる).しかし,短寿命核種同位体年代法は,相対的な年代順序しか与えないため,年代分析結果を絶対年代になおすためには,短寿命核種を用いた相対年代法に絶対年代基準を与える必要がある.具体的には,太陽系初期のあるイベントについて,短寿命核種同位体年代法と,U-Pb同位体を用いた絶対年代法を,両方適用することにより,相対年代法と絶対年代法を相関させることが可能となる.これまでに,いくつかのイベントについて,相対年代法と絶対年代法の両方が適用されてきたが,それらの結果は調和的ではない;相対年代法により求められる複数のイベントの年代差は,絶対年代法から求められるそれと,矛盾している.この矛盾の原因として,次のような点が考えられる.

1) 初期太陽系において,短寿命核種が不均質に分布していた.

2) 相対年代法及び絶対年代法の結果が,同一のイベントを反映していない.具 体的な例としては,ある隕石中に形成時期の異なる構成鉱物が含まれていた場 合,相対年代法と絶対年代法は,形成時期が同じ鉱物だけに,適用される必要が ある.

3) 二次的変成作用により,どちらか或は両方の年代法が,妨害を被っている.

したがって,上記の矛盾点を解決するためには,変成作用に強い,同時期に形成 された鉱物について,相対年代法と絶対年代法を適用することが,重要となる. そこで本研究では,隕石(ユークライト)中に僅かに含まれる,ジルコンに着目 している.ジルコンは,変成作用に強く,また高精度でU-Pb絶対年代及びHf-W相 対年代を決定することができる.さらに,ユークライト中のジルコンは,イルメ ナイトと共存しているため,そのジルコンーイルメナイトを組み合わせることに より,Nb-Zr相対年代も決定できる.これにより,Hf-W及びNb-Zr相対年代法に, 高精度かつ高確度の絶対年代基準を与えることが可能となる.




第2回宇宙地球同位体科学セミナー(2009年度)

speaker: 賞雅朝子(地震研 中井研究室 D3)
place: Room851 理学部1号館
time: 2009年 4月16日〔木)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「マントル鉱物多結晶体中の金属元素の拡散について」
内容:
コア-マントル相互作用のこれまでの研究では主に金属-鉱物間分配に関する素過程 が重要とされてきた(, Lauer and Jones, 1998, Fleet et al.,1999, Liu and Fleet , 2001, Righter et al.,2004, Brandon et al., 2005など)。 しかし近年の研究では分配係数が支配するような鉱物中などではなく、特に不適 合性の高い元素ほど、鉱物と鉱物の結晶界面が微量元素の貯蔵庫となりうるこ と、また高速拡散経路として重要な役割を果たしていることが明らかになりつつ ある(Hiraga et al., 2003, 2007, Hayden and Watson, 2007など)。地球マン トルは巨大な多結晶体であることから、膨大な量の結晶界面が存在し、不適合元 素の貯蔵庫として無視できない。また高速拡散経路として、結晶格子内で元素濃 度が平衡に達しないうちに地球内部を長距離移動することも可能にすることが指 摘されている。 Hayden and Watson(2007)は、親鉄元素などの不適合元素のMgO多結晶体中の拡散 速度を実験的に求め、拡散がコア-マントル相互作用の重要な素過程である可能性 を示した。一方でHaydenらの実験では、拡散源を金属パウダーとし、MgO多結晶 体を挟んだ金属フィルムの組成変化をEPMAで測定しており、拡散そのものの現象 を捉えていない。
 本研究では、このような不適合元素である白金族元素およびWに注目し、これら の元素についてフォルステライトなどの多結晶体中での粒界拡散速度や固溶度に ついて求め、地球におけるコア-マントル相互作用やコア形成,マントル進化に ついて制約を与えることを目的としている。  本発表では結晶界面を含むフォルステライト多結晶体(ナノメートルサイズの結 晶を使用(橘ら、2008))中のPtの拡散速度について正確に求める方法の開発を 試みており、その結果等について述べる。




第3回宇宙地球同位体科学セミナー(2009年度)

speaker: 藤谷渉1)、杉浦直治1)、市村康治2)
     1)理学系研究科 地球惑星科学専攻(杉浦・比屋根研), 2) 理学系研究科 技術部
place: Room851 理学部1号館
time: 2009年 5月 7日〔木)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「Mn, Crを添加したcarbonate標準試料の作成と、隕石中のcarbonateの Mn-Cr年代測定」
内容:
水質変成を受けた炭素質コンドライトの中には、dolomiteやcalciteなど Mn-Crの年代測定を適用できる炭酸塩が含まれており、それらの形成年代や、さ まざまな隕石母天体上での水質変成の継続時間などを議論することができる。し かし、これまでの研究では、形成年代が古すぎたり、変成の継続時間が長すぎる と考えられるデータが存在し、ほかの年代測定法による結果と必ずしも整合的で はない。その理由として、適当な標準試料が入手できなかったため、イオンプ ローブによる相対感度係数(Mn+/Cr+イオン強度比 v.s.Mn/Cr元素比)の推定が不十分である可能性あり、それは翻って年代の推定に 誤りをきたすことになる。
 本研究において、我々はMn, Crを添加した炭酸塩の標準試料を新たに合成及び評価 することで、上記の困難を解決しようと考えている。今回のセミナーでは、作成 した標準試料に関して、その合成方法、元素比およびNanoSIMSを用いた相対感度 係数の測定結果、さらに実際の隕石試料へ適用した結果を述べ、そのインプリ ケーションについて議論したい。




第4回宇宙地球同位体科学セミナー(2009年度)

speaker: 佐野有司1)
1) 海洋研究所 先端海洋システム研究センター
place: Room851 理学部1号館
time: 2009年 5月 14日〔木)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「NanoSIMSを用いたPb, Sr, Mg同位体測定とその応用」
内容:
2004年3月に海洋研究所に設置されたNanoSIMSは主として海洋古環境の復元を目 指したサンゴ骨格や有孔虫殻などの炭酸塩の微量元素地球化学に用いられてき た。一方で、放射性起源同位体を含むPb, Srの同位体分析も並行して行ってき た。本講演では、直径5〜7μmのスポットによるモナザイトのU-Pb年代測定とア ユの耳石のSr同位体測定について述べる。また、今年1月より始めたコンド リュール中の灰長石のAl-Mg年代測定についても述べる。
 モナザイトのU-Pb年代測定では、約4nAの酸素一次イオンビームを照射し、二次イオンを引き出して Mattauch-Herzog型のイオン光学をもつシステムで質量分析した。イオン・カウ ンティングの多重検出器を140Ce+, 204Pb+, 206Pb+, 238U16O+, 238U16O2+が同 時に検出できるように配置した。試料の206Pb/238U 比は年代既知の中央マダガ スカル産の標準試料の206Pb/238U 比と比較することで求めた。 一方207Pb/206Pb 比は1つの検出器により磁場スキャンで分析した。台湾で採取した砂岩から分離 した44個のモナザイトの238U-206Pb 年代と 207Pb-206Pb年代を測定し、電子 線マイクロプローブ法により求められたU-Th-Pb化学年代(CHIME年代)と比較し た。その結果十分な一致が得られた。
 次に炭酸カルシウム中のストロンチウム同 位体比(87Sr/86Sr)を分析した。 多重検出器は43Ca+, 80Ca2+, 86Sr+, 87Sr+ を同時に検出するように配置した。次に第4番検出器が85Rb+, 86Sr+, 87Sr+を 順番に、一方第4b検出器が同時に86Sr+, 87Sr+, 88Sr+を検出するように磁場ス キャンを行った。得られたデータはCa2原子分子、87Rb、 88Sr/86Sr比より見積 もったマスバイアスなどの一連の補正を行った。標準試料JCP-1の繰り返し測定 の結果、87Sr/86Srは0.3‰の精度と確度で分析できた。この手法を淀川で採取さ れたアユの耳石に応用した。
 最後に、灰長石のMg同位体比およびAl/Mg比の測定 手法を開発し、コンドリュールのAl-Mg年代測定を試みたので紹介する。





第5回宇宙地球同位体科学セミナー(2009年度)

speaker: 山田明憲
place: Room851 理学部1号館
time: 2009年 5月 28日〔木)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「酸素分子の光解離における同位体効果」
内容:
アポロサンプルと月隕石の分析から、地球と月の酸素同位体比はほぼ完全に一 致することが明らかになっている。しかし、月の表層にある金属粒子の表面から 数百ナノメートルのところに埋め込まれた酸素は、 Δ17O が+26‰ [Ireland et al., 2006] と -33‰ [Hashizume & Chaussidon, 2009] という大きな正の同位体 比異常を示すと報告された。Ozima ら [2008] は、この同位体比異常は酸素が地 球の上層大気(高度300 kmから400 km)から月まで運ばれて、月の表層に埋め込 まれたことによるという仮説を発表した。地球の上層大気では、同位体比に影響 を与え得る同位体交換反応や紫外線による分子の解離、イオン化が起こってい る。前回のセミナーでは、同位体交換反応の反応速度を理論的に計算し、その反 応速度を用いて地球の上層大気で光化学計算を行い、月表層で観測された大きな 同位体比異常は説明できないことを報告し、紫外線による分子解離の吸収断面積 について、初期の結果を示した。
 今回は第一原理から計算したクロスセクション、実験値との比較を示し、20- 30‰ の同位体効果がある見えることを報告します。その結果と合わせて、光解離 による同位体効果を考察します。





第6回宇宙地球同位体科学セミナー(2009年度)

speaker: 南部伸孝(上智・理工)
place: Room851 理学部1号館
time: 2009年 6月 11日〔木)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「一酸化二窒素同位体の光分解と同位体効果」
内容:
成層圏で起きるN2Oの同位体濃縮現象について、分子科学論的アプローチに基く 理論手法およびその計算結果の紹介を行う。




第7回宇宙地球同位体科学セミナー(2009年度)

speaker: 山口亮(極地研究所)

place: Room851 理学部1号館
time: 2009年 7月 2日〔木)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「小惑星ベスタ地殻の初期進化過程」
内容:
ユークライトは、HED隕石と総称される隕石種の一つであり、4番目に大きい小惑 星ベスタの地殻を起源とする。HED隕石は、エコンドライトの中では最大のグ ループである。小惑星ベスタは、唯一ちゃんとした形で残っている原始惑星の生 き残りである。したがって、HED隕石を研究することで、太陽系誕生直後に形成 した原始惑星の分化過程を詳細に知ることができるだろう。酸素同位体組成や親 鉄元素からの事実から、小惑星ベスタの地殻は、全球を覆っていたマグマ大洋か ら形成したとされる。このマグマ大洋固化の際に残液が地表に噴出した物がユー クライトである。全岩化学組成からユークライトは、二つの化学的タイプにわけ られる。一つは、MG-NV (Main Group - Nuevo Laredo) タイプ、もう一つはST (Stannern Trend) である。これらタイプの主要元素組成は類似するが、微量イ ンコンパチブル元素(REEs, Ti)組成は異なる。MG-NVトレンドは、マグマ大洋中 での結晶分化過程から推定されるトレンドと調和的である。それに対し、ST ト レンドは、この結晶分化モデルでは説明できなかった。われわれのグループは、 MG-NVタイプが、ユークライトそのものの部分溶融液に汚染されることで STタイ プが形成されると考えた。モデル計算によって、MG-NVタイプのマグマを部分溶 融液に汚染させることで、STトレンドの化学的特徴ができることを確認した。こ のプロセスは、主要元素には大きな影響を与えないが、微量インコンパチブル元 素に大きな影響を与える。最近、極度に強い熱変成作用を受けたために、少量 (数%)の部分溶融液を失ったような化学組成をもつユークライト(残渣ユーク ライト)が見つかった。この三つの化学タイプは、マグマ大洋からの固化とその 後の熱変成作用のために生じたと考えることができる。小惑星ベスタ地殻は、こ れまで考えられていたより複雑な地質過程を経て形成したことを示唆する。




第8回宇宙地球同位体科学セミナー(2009年度)

speaker: Daniele L. Pinti
(Universite du Quebec a Montreal and visiting professor of Ocean Research Institute, the University of Tokyo)
place: Room851 理学部1号館
time: 2009年 7月 9日〔木)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「Mantle noble gases in a passive continental margin: What is going on in Eastern North-America?」
内容:
Sparse studies in the last decade showed that continental fluids  (natural gas and groundwater) in the Eastern North-American passive margin (New York, New England, Pennsylvania) show relative high mantle noble gas signature with 3He/4He ratio up to 1.6 Ra. Recent work in the intracratonic Michigan Basin showed “lower mantle” signatures with solar Ne. We analyzed He to Xe isotopes in brines from Quebec in the foreland bulge of the Appalachians and we found He, Ne and Ar of mantle origin. Although somehow ambiguous, some signature suggests the possible injection of mantle fluids with “lower mantle” isotopic composition, in particular solar Ne. Magma aging models suggest a magmatic source emplaced in the last 150 Ma which could corresponds to the passage of the Great Meteor hot spot, which might be responsible for the formation of the alkaline magmatism of the Monteregian Hills. If this localized source could explain our data it is to question whether a much larger continental-scale processes could have contaminated with mantle noble gases the brines and natural gas accumulations of the eastern North-American passive margin.




第9回宇宙地球同位体科学セミナー(2009年度)

speaker: 牛久保孝行
(University of Wisconsin-Madison)
place: Room851 理学部1号館
time: 2009年 7月 22日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「化石隕石と炭素質隕石コンドルールの酸素同位体比分析」
内容:
ウィスコンシン大学のIon Microprobe Facilityでは高精度酸素同位体比分析の 開発を精力的に行っています。今回は適用例として、4億5千万年前に大量に降下 した隕石の種類を同定するために行った化石隕石のChromiteの酸素同位体比分析 と、炭素質隕石Acfer094のコンドルールの酸素同位体比分析の2つの話題につい てお話したいと思います。




第10回宇宙地球同位体科学セミナー(2009年度)

speaker: 菊池麻希子 (広島大・地球惑星システム学)
place: Room851 理学部1号館
time: 2009年 7月 23日〔木)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「Mantle noble gases in a passive continental margin: What is going on in Eastern North-America?」
内容:
 中央アフリカ・ガボン共和国に存在するオクロ・オケロボンド・バゴンベウラン鉱床は,今から約20億年前に大規模な核分裂連鎖反応を自然発生的に起こした特異的な場所(天然原子炉)である。天然原子炉試料内の同位体組成は核分裂反応,中性子捕獲反応,放射壊変の組み合わせによって変動しているため,同位体組成を調べることによって,原子炉稼働条件の見積もりや長期間における放射性核種ならびに核分裂起源核種の移行挙動を調べることが可能である。また,使用済み核燃料の地層処分の安全性を評価する上で,天然原子炉試料内の核分裂起源核種の長期間における地球化学的挙動を調べることは重要な知見をもたらす。
 本発表では,オクロ地域で発見されている16か所の原子炉ゾーンのうち,核分裂による発生エネルギーが高く,風化の影響をほとんど受けていない原子炉13の試料を用いた2つの研究を紹介する。

1.Zr,Mo,Ru,Pb,U同位体組成からみた金属微粒子の形成メカニズム
 核分裂起源核種の中でも,Mo,Tc,Ru,Rh,Pdは核燃料内で金属微粒子を形成することが知られており,同様の化学組成を持つ金属微粒子がオクロ天然原子炉中からも発見されている。本研究では,原子炉13から採取した試料について電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いた主成分元素定量分析を行い,金属微粒子の同定を行った。次に,同定された粒子について高感度高分解能イオンマイクロプローブ(SHRIMP)を用いたZr,Mo,Ru,Pb,U同位体分析を行った。
 99Ru/101Ruは天然のRuと核分裂起源Ruの2成分混合では説明できない同位体異常を持つことが明らかになった。99Ruは半減期約21 万年の99Tcによって生成されるため,TcがRuより選択的に金属微粒子に取り込まれることで99Ruの過剰を示すことが報告されているが(Hidaka et al., 1999),本研究で観察された99Ru/101Ruは過剰と減少の両方を示した。この結果から,金属微粒子の形成環境は局所的に酸化還元状態が異なっていた可能性があり,核分裂起源RuとTcは幅広い割合で化学分別を起こし粒子内に取り込まれたと考えられる。
 天然原子炉での235U/238Uは235Uの核分裂反応のため一般に減少する傾向にあ るが,本研究での金属微粒子においては減少と過剰を示した。原子炉部分に存在する238Uは中性子捕獲反応を起こすと239Pu(半減期24100年)を生成し,239Puは235Uへα壊変をする。金属微粒子内の235U/238Uの過剰は,239Puがまだ原子炉内に存在している間に,Uとの間で化学分別を起こし,金属微粒子内に取り込まれたためであると考えられる。

2.高エネルギー粒子の照射によって生成されるナノスケールダイヤモンドの検 出(進行中)
 多結晶質ダイヤモンドであるカルボナドの成因として,核分裂の際に放出される高エネルギー粒子が天然に存在する炭質物に照射されたことによって出来たとする仮説(カミンスキー仮説)を物質科学的側面から実験的に検証するために,原子炉13試料中の炭質物を用いてダイヤモンド成分の存在の有無を確かめる。原子炉ゾーンで発生した核分裂による放出エネルギーは,通常のウラン鉱床の自発核分裂がもたらすそれと比較すると少なくとも数十万倍に及ぶ。また,これらのウラン鉱床中でかつて核分裂反応を起こしていた部分には多量の炭質物が含まれていることが報告されている。カミンスキー仮説が正しければ,天然原子炉試料中にダイヤモンドが存在している可能性は極めて高い。
 本研究では,原子炉13からの試料を用いて,ダイヤモンドが濃集していると予想されるフラクションを化学分離することを試みている。分離するダイヤモンドはナノスケールであることが予想されるため,化学操作は炭素質コンドライト隕石からナノメートルサイズの微小ダイヤモンドを分離する手法(Amari et al.,1994)に基づき行っている。




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