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第1回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 杉浦直治
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 4月9日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「Achondrite parent bodies vs. chondrite parent bodies: Which formed earlier?」
内容:
 エイコンドライト母天体のほうがコンドライト母天体より早く形成されたことは、 放射性熱源を考えれば当然のことである。 しかしエイコンドライト母天体の表面にコンドライトが 存在しないことをどう考えたらよいのだろうか。





第2回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 中井俊一
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 4月23日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「沈み込み地域でのマグマの上昇速度がわかるか」
内容:
 ウラン−トリウム放射非平衡を用いて,沈み込み帯でのマグマの上昇スピードに制約 をつけることができるか研究を行ってきた.流体が沈み込むスラブから放出される際 に起る放射性核種間の化学分別を利用する方法である.
 島弧下マントルで流体の付加から噴火までの時間に制約をつけるためには,いくつか の仮定をおくことが必要であるが,そのうちでも,
1)流体の付加の前のウラン−トリウム放射非平衡の状態が推定できること,
2)流体の化学組成が推定できること,
3)流体の付加の後に放射性核種の分別がおこらないことが,重要である.
 これらの仮定がなりたっているか,伊豆島弧,マリアナ島弧の新たに得たデータと既 存のデータを用いて検討した.マグマの上昇速度の見積もりが可能か考察する.





第3回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 比屋根 肇
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 5月7日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「希土類元素からみたCAIの形成環境」
内容:
 CAI中の希土類元素は、しばしば元素の揮発性の違いに基づく大きな分別を示し、CAIの形成領域において、非常に高温でのガス−ダスト(固体微粒子)の分離が起こったことを示唆する。今回は、Allende隕石中にみつかった細粒包有物(AFG-1)に注目する。AFG-1は多数の独立したノジュールの集合体であり、各ノジュールはそれぞれ特徴的な希土類元素パターンを示す。AFG-1の中心付近には Hendrix と名づけられた超難揮発性のノジュールがある。Hendrix中には難揮発性の金属粒子も存在し、その組成から、希土類元素とは別に金属粒子の凝縮温度や酸 素分圧を推定することが可能である。詳細な凝縮計算(by橋元明彦)の結果、これらさまざまなデータを整合的に説明することが可能になってきた。
 これらのデータをもとに、CAI形成環境について議論したい。





第4回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 賞雅朝子
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 6月4日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「地球試料のタングステン(W)同位体比            
〜マントルのW同位体比の不均質について 」
内容:
 消滅各種の182Hf-182W系列は,親核種Hfが親石性で娘核種Wが親鉄性であることから, 惑星のコア形成時期などの決定(Yin et al.,2000など)や,マントルとコアの相互作 用の検証について利用される(Schersten et al., 2004).
 地球のコア形成時期については,炭素質コンドライト(CC)と地球の表層物質のHf-W 同位体から,Two stage modelで最後のコア形成が太陽系形成から3000万年後であると されている(Yin et al.,2002, Klein et al.,2002).しかしPb同位体比からはコア の形成は約1億年〜2億年の間に生じた可能性も残っている.
Allegre et al.(2008)では,コアの形成は3000万年よりも遅く,1億〜2億年の間に起 こり,W同位体はマントル内で完全な平衡状態にならず,不均質性をもっている可能性 を示唆した.Walker(2000)やRighter et al.(1997)などではコア形成後,コアから下 部マントルへWなどの元素の逆流が起こる可能性を指摘している.これが正しいとする とW同位体比が上部マントルと下部マントルで異なる可能性がある.
 このようにコア形成後のプロセスは様々なモデルが提唱されており,現在のマント ルのW同位体比が不均質かどうかを調べることでモデルに制約が与えられる.

 マントルとコアの相互作用の検証については,まずBrandon et al.(1998)がOs同位体 比トレーサーを用いてハワイの海洋島玄武岩からコアからマントルへの物質的な影響 があることを示唆した.またCollerson(2002 abstract)によって南アフリカのキンバ ライト試料のW同位体比からコア物質の寄与を示唆する同位体比の異常が検出された. しかしScherte et al.(2004)によるキンバライトとハワイの試料のW同位体比測定の 結果からはW同位体比の異常は検出されていない.その後Humayun et al.(2004)により Fe/Mn比とOs同位体比から再びハワイ島の海洋島玄武岩においてコア物質の影響がある という反論がなされ,コア-マントル相互作用については様々なトレーサーを用いて未 だに議論がされている.

 地球試料のW同位体比の結果から,コア形成後のプロセスとコア-マントル相互作用に ついて考察する.





第5回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 市村康治
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 6月18日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「マトリックス効果の補正のためのSIMS標準試料の合成」
内容:
 隕石中で見つけることのできるhiboniteとgrossiteは、SIMSによりAl-Mg年代測定法を 適用することができる。一方、hiboniteとgrossite のマトリックス効果の補正のための 標準試料としては、隕石中のhiboniteやgrossiteとは組成が異なるMadagascar産の hiboniteがよく使われている。また、隕石中のcalciteとdolomiteには、Mn-Cr年代測 定法を 適用できるものがある。これらの炭酸塩鉱物に関しては、比較のための標準試料として olivineが用いられている。
 より正確な年代測定値を得るため、私はMgとTiを添加したhiboniteとgrossite、Mnと Crを添加したcalciteとdolomiteの標準試料の合成を目指している。今回、sol-gel法と 新たなfluxを用いた合成方法により、hiboniteに関しては良好な試料が得られつつある。 同様の方法でgrossiteも合成を行っている最中である。水溶液(ACV法)で合成した calciteは結晶サイズは良好であるものの、Mnの濃度が局所的に不均一であり、 改良を要している。






第6回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 藤谷渉
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 7月2日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「炭素質コンドライトにおけるNanoSIMSを用いたクロム同位体分析
    〜クロム同位体異常をもつプレソーラー粒子の同位体比測定〜」
内容:
 隕石試料において、様々な隕石グループで系統的に異なったクロムの同位体異常 が存在することが知られており、とくに炭素質コンドライトにおいて大きな同位体異常 を示す。この同位体異常の原因として、プレソーラー粒子がその異常のキャリアであ る可能性が指摘されている。プレソーラー粒子とは、始源的な隕石の中に微量存在 し、太陽系物質の標準的な同位体組成とは全く異なる同位体組成をもつ粒子のこと である。プレソーラー粒子の同位体組成は、太陽系形成以前から存在していたダスト がもともとの同位体組成を保持していると解釈され、太陽系の46億年の歴史よりも さらに古い時代の情報をもつほぼ唯一の物質である。
 現在、このようなクロムの同位体異常をもつ粒子を発見し、太陽系材料物質について の新たな情報を得るべく、炭素質コンドライトに対して二次イオン質量分析計を用いた クロム同位体分析を行っている。クロム同位体分析は妨害イオンの存在など難点も 多いが、NanoSIMSを用いた測定手法を開発中であり、その測定手法とそれを用いて 得られたデータをセミナーで発表する。






第7回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 山田明憲
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 9月24日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「地球熱圏における化学反応が質量非依存同位体分別 (MIF) を起こしうるか」
内容:
Ireland et al. [2006] は月表面に存在する金属粒子(最近太陽風の照射にさらされた)中の酸素同位体の比 (D17O にして25 permil 程度) に質量非依存(MIF)があることを報告した。Ozima et al. [2007]はこの酸素同位体MIF は地球からの流出大気によって運ばれた酸素イオンO+ が原因であるという仮説を提案した。本研究の目的は地球大気が化学反応によってO+ のMIF を作り得るのかどうかを数値実験により検討することである。
 これまでにわかったことを報告し、現在取り組み始めたばかりの酸素分子の光の吸収に関する計算について紹介します。






第8回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 三浦弥生
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 10月15日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「ユークライト隕石の希ガス同位体組成と年代学」
内容:
  ユークライト隕石は、玄武岩組成を持つ分化隕石であり、  分化隕石の中では最も回収数が多い。講演者はこれまでに約30の  ユークライト隕石の希ガス分析を行っており、そこらから得られる  宇宙線照射年代、落下年代、Pu-Xe年代の分布、129I起源129Xeの存在、  その他の特徴について紹介したい。また、これまでに報告されている  鉱物学的特徴や年代値をレビューし、ユークライト母天体の形成史や  他の分化天体との差異について考えてみたい。






第8回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 三浦弥生
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 10月15日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「ユークライト隕石の希ガス同位体組成と年代学」
内容:
  ユークライト隕石は、玄武岩組成を持つ分化隕石であり、  分化隕石の中では最も回収数が多い。講演者はこれまでに約30の  ユークライト隕石の希ガス分析を行っており、そこらから得られる  宇宙線照射年代、落下年代、Pu-Xe年代の分布、129I起源129Xeの存在、  その他の特徴について紹介したい。また、これまでに報告されている  鉱物学的特徴や年代値をレビューし、ユークライト母天体の形成史や  他の分化天体との差異について考えてみたい。






第9回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 藤谷渉
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 10月29日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「太陽系初期における同位体不均一;クロム同位体からのアプローチ」
内容:
 バルクの隕石に見られるクロム同位体異常に関して、同位体異常をもつ物質の特定およびその同位体組成に関する研究の話をこれまでのセミナーで何度か話をしてきた。
 今回はNanoSIMSによる新たなデータを紹介するとともに、地球外物質中にみられる、恒星での核合成過程を反映していると考えられる同位体異常とクロムの同位体異常とを合わせて、初期太陽系における物質混合の不均一性について考えてみたい。





第10回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 杉浦直治
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 11月26日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「An igneous clast with graphite-bearing and graphite-free lithologies in the NWA 801 CR2 chondrite」
内容:
igneous clastの mineral chemistry, bulk chemistry, isotopic compositionsに基づいてその起源を考える。ureilitesとの関係、basaltic1 volcanismとの関係を明らかにすることを目指している。





第11回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 比屋根肇
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 12月10日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「希土類元素からみたCAIの生成環境(2) :Modified Group II の生成条件」
内容:
 CAI(とくに細粒CAI)の希土類元素パターンは、非常に高温における超難揮  発性ダストとガスとの分離がCAI形成領域で激しく起こったことを示唆している。  今回は Modified Group II と名づけた 重希土類の欠乏+Ce, (Eu), Yb の正の異常  を持つ希土類元素パターンに注目し、その生成条件からCAIの形成環境について  考察したい。





第12回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 藤谷渉
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 12月22日〔月)、4:00 to 6:00 pm

セミナータイトル:
 「NanoSIMSを用いたクロム同位体比の微小領域分析と隕石中のクロム同位体異常」
内容:
これまでに何度かセミナーで話したことの総まとめ。
特に以下に重点をおいて話をする予定。
 1) 隕石中のクロム同位体異常の研究意義。
 2) NanoSIMSを用いたクロム同位体分析の技術的な難点。
また、実際に分析した際の失敗とその対策、分析を成功させるための様々な試行錯誤。





第13回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 小嶋稔
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 1月14日(水)、500 to 5:30 pm

セミナータイトル:
 「AGUでの話題から」

speaker: 藤谷渉
place: Room851 理学部1号館
time: 2008年 1月14日(水)、5:30 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「イオンマイクロプローブを用いた炭素質コンドライト中のクロム同位体異常に関する研究」
内容:
 炭素質コンドライトは全岩およびその酸段階溶解による特定のフラクションにおいて、 54クロムの同位体異常を示すことが知られている。 本研究はイオンプローブ(SIMS)を用いてその同位体異常の解明を目指すものであり、 今回のセミナーでは現在までに得られたデータをまとめて、その解釈について議論する。





第14回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 山田明憲
place: Room851 理学部1号館
time: 2009年  1月 28日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「Mass Independent Isotopic Fractionation of Oxygen in Earth Wind (EW) with Relevance to Exotic Oxygen in Lunar Metals.123441 」
内容:
Ireland et al. [2006] は月表面に存在する金属粒子(最近太陽風の照射 にさらされた)中の酸素同位体の比 (D17O にして25 permil 程度) に質量 非依存(MIF)があることを報告した。Ozima et al. [2007]はこの酸素同位体 MIF は地球からの流出大気によって運ばれた酸素イオンO+ が原因である という仮説を提案した。本研究の目的は地球大気が化学反応によってO+ のMIF を作り得るのかどうかを数値実験により検討することである。これま でに化学反応を考えるだけでは大きなMIF は説明できないことが明らかに なった。次にO2 の光によるプロセスに注目している。 O2 が2つのO原子に解離するときのクロスセクションは、それぞれ重さが 異なるので同位体によって異なる。まずは計算が簡単なZero point energy (ZPE) モデルを用いて、クロスセクションが異なること、MIF が見えることを 確認した。
 現在は第一原理からきちんとクロスセクションを計算し、その効果をみよう と努力している。





第15回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 小嶋稔
place: Room851 理学部1号館
time: 2009年  2月 18日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「同位体比分別ー再考」
内容:
隕石は現在太陽系元素・同位体存在度につき最も有力 な情報源となっている。しかし、太陽系の起源と進化の理解 に不可欠な太陽系酸素同位体組成や、宇宙の起源の理解の基 本となるH/Dは依然としてよく分かっていない。この問題の 難点は揮発性元素(H,O, 希ガス等)の太陽系元素組成・同位 体存在度の推定が専ら隕石にインプラントされた太陽風 (Solar Wind: SW)の分析からの間接的な推定に頼らざるを得 ないと言う点にある。隕石から得られる一次データの集積 (隕石学)から,太陽系同位体存在度を推定し、さらに此れ に基き科学として我々の目指す太陽系形成論(隕石科学)に 至るには、太陽とSW間の元素・同位体分別機構(質量非依存 性)の理解が不可欠である。





第16回宇宙地球同位体科学セミナー(2008年度)

speaker: 中井俊一
place: Room851 理学部1号館
time: 2009年  3月 4日〔水)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「10Beによる島弧火山での放射非平衡の起源への制約」
内容:
島弧火山に見られる238U系列の放射非平衡が,どこで生じているかを検証するために, 地球表層からのみ島弧火山マグマに供給される10Beとの関係を調べている. 伊豆島弧の火山で10Be/9Be比は火山下の沈み込むプレートへの深度と相関がある こと が明らかになった. これは沈み込むプレートから放出される流体により,ベリリウム同位体比が変化 する ことを示唆している. 230Th-238Uの放射非平衡の大きさと10Be/9Be比には良い相関が観察できた. この放射非平衡は,流体の移動にともなうウランとトリウムの化学的な分別に よって 生じていると考えられる. より短いタイムスケールでの議論に有効な226Ra-230Thとの相関を現在,調査し ている. 極微量の226Raの分析について苦労していることを話す.





宇宙地球同位体科学セミナー(特別セミナー)

speaker: James Lyons *
(* Institute of Geophysics and Planetary Physics, UCLA)
place: Room839 理学部1号館
time: 2008年 10月 8日〔水)、5:00 to 6:30 pm

セミナータイトル:
 「Mass-independent fractionation of oxygen and sulfur isotopes in atmospheres」
内容:
 I will discuss recent work on sulfur isotope mass-independent fractionation (MIF) in the early Earth atmosphere, oxygen isotope MIF in the Snowball Earth, and possible oxygen isotope effects in the Martian atmosphere. I will also discuss oxygen isotope effects in the solar nebula, which may be considered to be an extended atmosphere about the protoSun.





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