Planetary Material Sciences Laboratory
(This page is written in Japanese. Sorry for my negligence of translation to English language)


第1回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 杉浦 直治(地球惑星科学専攻 教授)
place: Room851 理学部1号館
time: 2010年 4月 8日〔木)、5:00 to 7:00 pm

セミナータイトル:
 「Accretion of meteorite parent bodies: When and where?」
内容:
 Ages of accretion of meteorite parent bodies are now well established. The locations of the accretion, however, are not well known. Here I try to find the locations, based on depletion of volatile elements, oxygen and nitrogen isotope systematics and oxygen fugacities.




第2回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 牛久保孝行(ウィスコンシン大学マディソン校)
place: Room710 理学部1号館
time: 2010年 4月 22日〔木)、15:00 to 17:00

セミナータイトル:
 「Lithium in Jack Hills zircon:太古代研究に関する一つのアイディア」
内容:
地球では約40億年前よりも古い岩石が見つかっていないため、それよりも古い 結晶化年代を示すジルコンという鉱物が、40億年前以前の地球の地殻形成や 表層環境に関する知見を得るための貴重な試料となっています。本研究では、 オーストラリア西部、Jack Hillsという所で見つかった43〜39億年前に晶出 したジルコンについて、リチウムの濃度と同位体比の分析を行いました。その結果、 これらのジルコンの母岩は大陸地殻的なものであり、結晶化当時にはもしかしたら 激しい風化による大量の風化生成物が存在したかも知れない、という事が示唆され ました。
得られたデータの解釈に対しての批判も多い研究ではありますが、共同研究者に よる新しい研究の結果も併せて、批判的な人たちも無視できない程度には固まった 議論になってきたと考えています。
新しい研究室に移り、研究テーマの提案、分析法の開発、標準試料の作成等の 手順を踏む中で色々と学ぶ事も多い研究でしたので、その辺の経緯も交えたお話 をしたいと考えています。




第3回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 中井俊一(地震研)
place: Room710 理学部1号館
time: 2010年 5月 13日〔木)、15:00 to 17:00

セミナータイトル:
 「大山火山アダカイトの地球化学的特徴」
内容:
 中国地方の大山火山ではアダカイトと呼ばれる特殊な火山岩が見られる.アダカイトは,Sr/Y,La/Yb比が高いなどの,一般の沈み込み地域の火山岩とは異なる地球化学的性質を示す.アダカイトの成因については沈み込むスラブが溶融したモデルが提唱されている.主として若く熱いスラブが沈み込む地域にアダカイトが見られる.太古代の地域に見られるトーナライトなどの火成岩はアダカイトと地球化学的に似た特徴を示すため,地球史初期の大陸地殻の形成の理解にはアダカイトの研究が有効であると考えられている.
 スラブが溶融した場合と,一般の島弧火山の成因となっているスラブから放出された流体のマントルへの付加による溶融では,いくつかの異なる地球化学的な特徴が生まれるが,なかでも238U-230Thの放射非平衡の違いは顕著である.
 流体の付加により生じたマグマは238Uが230Thに対して過剰の放射能を持つことが多いのに対して,スラブ溶融の場合は230Thが238Uに対し過剰の放射能を持つ.
 大山火山の烏ヶ山,弥山の火山岩について238U-230Thの放射非平衡分析を行ったところ,烏ヶ山の岩石は230Thが238Uに対し過剰放射能を示すのに対して,弥山のものは238Uが230Thに対し過剰放射能を示した.これはスラブ溶融で生じたアダカイトが流体の付加により化学組成が変化したマントルと相互作用した可能性を示唆する.中国地方に沈み込むフィリピンプレートは20Ma程度の年代を持ち,スラブ溶融がおこる限界に近い年代を持つが,比較的古い年代を持つことの影響によって,スラブ溶融と流体の脱水により化学組成が変化したマントルの相互作用が起こる可能性がある.




第4回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 藤谷渉
place: Room710 理学部1号館
time: 2010年 7月 1日〔木)、15:00 to 17:00

セミナータイトル:
 「Li and B in stardust from supernovae」
内容:
リチウム(Li)とホウ素(B)は太陽系元素存在度が付近の核種に比べ極端に小さい。これは、核子間の結合エネルギーが弱く、恒星内では容易に壊されるためである。これらの元素は超新星ニュートリノ元素合成によっても作られる7Liと11Bを除いて、ほとんど星の内部では合成されず、銀河宇宙線と星間物質との相互作用による核破砕反応によって作られる。
 本研究では、ニュートリノ相互作用および宇宙線による核破砕反応の検出を目的に、超新星起源であると考えられるプレソーラー粒子(先太陽系時代から存在していた粒子)に対して、NanoSIMSによるLi、Bの同位体および存在度の分析を 行った。セミナーでは、初期分析の結果とそこから得られる示唆について話す。




第5回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 太田祥宏(佐野研,M1)
place: Room710 理学部1号館
time: 2010年 7月 1日〔木)、15:00 to 17:00

セミナータイトル:
 「火星隕石とその中のリン酸塩鉱物の年代、水について」
内容:
火星はおよそ40億年前に大量の液体の水が存在したが、その後急速に水が地表からなくなったと考えられている。この水の歴史を探るためSIMSを用いて火星隕石中のリン酸塩鉱物の水やハロゲンの量に関して測定を行う研究がなされている。 セミナーでは火星隕石全体のサマリーと共に特に火星隕石における年代学や水の歴史について概観し、修士課程での研究に対する今後の計画と現状について話す。




第6回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 杉浦 直治(地球惑星科学専攻)
place: Room710 理学部1号館
time: 2010年 10月 7日〔木)、17:00 to 19:00

セミナータイトル:
 「Accretion of meteorite parent bodies: when and where? その2」
内容:
 隕石の年代測定と、安定同位体比に基づいて、母天体がいつ、どこで集積したかを考える。今回は新たにchondruleの年代分布、54Cr同位体異常、エイコンドライトの揮発性元素等について考察する。




第5回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 太田祥宏(佐野研,M1)
place: Room710 理学部1号館
time: 2010年 7月 1日〔木)、15:00 to 17:00

セミナータイトル:
 「火星隕石とその中のリン酸塩鉱物の年代、水について」
内容:
火星はおよそ40億年前に大量の液体の水が存在したが、その後急速に水が地表からなくなったと考えられている。この水の歴史を探るためSIMSを用いて火星隕石中のリン酸塩鉱物の水やハロゲンの量に関して測定を行う研究がなされている。 セミナーでは火星隕石全体のサマリーと共に特に火星隕石における年代学や水の歴史について概観し、修士課程での研究に対する今後の計画と現状について話す。




第6回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 杉浦 直治(地球惑星科学専攻)
place: Room710 理学部1号館
time: 2010年 10月 7日〔木)、17:00 to 19:00

セミナータイトル:
 「Accretion of meteorite parent bodies: when and where? その2」
内容:
 隕石の年代測定と、安定同位体比に基づいて、母天体がいつ、どこで集積したかを考える。今回は新たにchondruleの年代分布、54Cr同位体異常、エイコンドライトの揮発性元素等について考察する。




第7回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 馬上謙一(地球惑星科学、D3)
place: Room936 理学部1号館
time: 2010年 10月 14日〔木)、17:00 to 19:00

セミナータイトル:
 「Ancient solar wind noble gases in chondrites: The timing of dust and gas dispersal in the proto-solar disk.」
内容:
太陽系形成初期, 約45.7億年前, の(原始)太陽は分子雲から始まり, いくつかの形態を経て, 現在の状態(主系列星)に至った. 太陽が中心部で核融合(水素燃焼)を始めるまでの時間はおよそ3000万年である (e.g., Palla and Stahler, 1993, ApJ). 原始星が収縮を始め, 100万年ほど経過し, 中心温度が100万度を超えると重水素燃焼が始まる. この時に太陽のヘリウム同位体比が大きく変動したと考えられている(Geiss and Gloeckler, 2003, SSRv). このヘリウム同位体比の変動があったことを確かめるために, 月試料に打ち込まれた (打ち込み年代 1-37億年) 太陽風照射起源ヘリウムを用いた研究が行われてきた(e.g., Heber et al., 2003, ApJ). しかし, 月試料の分析結果は現在の太陽風起源ヘリウム同位体比と同じ値となった (Heber et al., 2003, ApJ).
そこで, 発表者は月試料より以前に非常に若い太陽から放出された太陽風の照射を受けたGas-richコンドライトを用いて同様の実験を行った. Gas-rich隕石とは隕石母天体上で太陽風の照射を受け, 大量の太陽風起源希ガスを保持する隕石の総称である. その中でもコンドライトは母天体の形成年代も古いため原始惑星系円盤ガスが晴れ上がった直後の太陽風の情報を得ることができると考えた. 円盤ガスの晴れ上がりは原始星への質量集中から1000万年程度とされているが, その物質的な証拠は未だ発見されていない.
実験は太陽風の打ち込み年代として, 太陽系形成初期の年代を高い時間分解能で測定できるI-Xe年代と, 太陽風起源ヘリウム同位体比を求めるためにそれぞれの隕石を2つに分け, I-Xe年代のために中性子照射した試料をアイソトープ総合センターに設置されているVG-3600で, 希ガス同位体分析を地殻化学実験施設のVG-5400 (共に希ガス質量分析計)で測定した.
発表では1. 原始太陽系円盤ガスの晴れ上がり時期の推定し, 2. 晴れ上がった後に打ち込まれた原始的な太陽風から, 重水素燃焼が起こる以前, またはその影響が太陽風のヘリウム同位体比に及ぶ前の太陽風ヘリウムは検出できるか中心に進めて行く予定である.




第8回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 佐々木 翔吾 (地球惑星科学、M1)
place: Room936 理学部1号館
time: 2010年 10月 21日〔木)、17:00 to 19:00

セミナータイトル:
 「SIMSによるPd-Ag系を用いた鉄隕石の年代測定の試み」
内容:
 隕石の年代測定の方法にはいくつか種類があるがその一つにPd-Agがある。このPd-Ag法とその他の年代測定法の位置づけ、および SIMSを用いた、Pd-Ag法で期待できる成果と問題点について述べる。




第9回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 藤谷 渉 (地球惑星科学、D2)
place: Room936 理学部1号館
time: 2010年 10月 28日〔木)、17:00 to 19:00

セミナータイトル:
 「CM, CIコンドライト中の炭酸塩のMn-Cr年代測定と水質変成環境への示唆」
内容:
 CM, CIコンドライトは母天体における水質変成の影響を顕著に受けている。その結果生じた二次鉱物は変成のタイムスケールや物理化学的環境に関する情報を持っており、さらに隕石母天体(小惑星)が集積した時期、環境やその原材料へと議論をしていくことができる。
 本研究ではNanoSIMSを用いて二次鉱物である炭酸塩のMn-Cr年代を求め、そのデータを制約条件として母天体における水質変成のモデルを構築することを試みる。セミナーではまず得られたCM, CIコンドライトの年代データを紹介し、先行研究との比較を行う。そしてそれを基にした隕石母天体の熱史という物理的描像と、元素組成や軽元素同位体組成から得られる化学的な制約から水質変成の環境について議論したい。




第10回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 山口 亮 (極地研究所)
place: Room936 理学部1号館
time: 2010年 11月 11日〔木)、17:00 to 19:00

セミナータイトル:
 「月隕石から見た月地殻の形成史」
内容:
 月隕石は、衝突によって月表面からランダムに放出されたとされる。これは、アポロやルナ探査機で回収された岩石が、月の表側赤道付近のものに限られるのと対照的である。最近、月隕石の中で、月の裏側もしくは裏側に近い表側由来と考えられる隕石が見つかった。これらの隕石を岩石学的データーや全岩元素組成、放射年代決定など多角的に研究することで、月裏側地殻の形成過程の一端を明らかにしようとした。




第11回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 木村 眞(茨城大)
place: Room936 理学部1号館
time: 2010年 11月 25日〔木)、17:00 to 19:00

セミナータイトル:
 「NWA 801 (CR) コンドライト中の特異なクラストについて」
内容:
 以前、杉浦研を修了した竹鼻さんが研究したCRコンドライト中の岩片の再検討を行った。その結果、この岩片にはオンファス輝石やパイロープザクロ石が含まれていることがわかった。これらの鉱物は地球ではエクロジャイトなどを特徴付ける高圧鉱物である。CR母天体での衝撃作用あるいは、巨大な天体起源と推定される。この岩片の鉱物学的特徴、結晶作用などについて論じたい。




第12回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 山田 明憲(地球惑星科学、D1)
place: Room936 理学部1号館
time: 2010年 12月 2日〔木)、17:00 to 19:00

セミナータイトル:
 「1. 247Cm の半減期が Pb-Pb 年代測定に影響を与えるか
2. 太陽の酸素同位体比測定について、途中経過を報告」
内容:
1. Pb-Pb 年代測定法は、U同位体比を現在の比 137.88 と仮定することで精度よく年代を得ることができるとされている。 しかし、Brennecka et al. (2010) がCAI 中のU同位体比の差を発見し、247Cmの影響であると示唆した。この発見に則って、Bouvier & Wadhwa (2010) は Th/U 比からU同位体比を見積もる方法を提案した。ところが、Amelin et al. (2010) は Brennecka et al. (2010) のU-Thトレンドに乗らないCAI があることを報告した。これらをレビューし、247Cm が太陽系初期に存在した、Cm は Nd やTh と同じ挙動を示すという二点を仮定し、先行研究ではなぜか一切触れられなかった 247Cm の半減期を考慮した年代測定を行う必要があるかどうか議論する。

2. 隕石の酸素同位体比測定から、Δ17O が-40‰ から +100‰ まで幅広い非質量依存同位体分別が報告されている。そのため、太陽系初期のイベントを知るためには平均的な太陽系の酸素同位体比がいくらであったのかが大問題となる。太陽系の質量の99パーセント以上は太陽にあるので、太陽の酸素同位体比を測りたい。太陽大気には温度が最小となる領域にCO 分子が存在することは知られている。これをACE (Atmospheric Chemistry Experiment) のデータを用いて、太陽の酸素同位体比を求める。誤差を2%程度に同位体比を決定することを目標としている。本発表では太陽のCO分光の途中経過を紹介する。




第13回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 山崎 絵里香(東工大、地球惑星科学、D2)
place: Room936 理学部1号館
time: 2010年 12月 9日〔木)、17:00 to 19:00

セミナータイトル:
 「考古学への応用に向けたスズ同位体分析法の開発」
内容:
 スズ(Sn)には全元素中最多となる10個もの安定同位体が存在する。最大で12の質量幅をとるため、同位体比の変動を検出しやすいと考えられるが、スズが同位体測定の対象とされた例はまだ少ない。本研究は考古学分野への応用を最終目標とするが、そのためにはまず、天然のスズ同位体比変動の検証が不可欠である。発表ではこれまでの先行研究紹介に加え、昨年から取り組んでいるスズ鉱石(カシテライト)の分析結果について、途中経過を報告する。




第14回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 杉浦直治(地球惑星科学)
place: Room936 理学部1号館
time: 2011年 1月 13日〔木)、17:00 to 19:00

セミナータイトル:
 「mesosiderites: a review」
内容:
 エイコンドライトは太陽系の最初期の情報を持っている可能性がある。そのような観点でmesosideritesを研究しようと考えている。これまでのmesosiderites形成モデルには、怪しげなところがたくさんあるので、その辺を中心にreviewする。




第15回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 佐々木 翔吾(地球惑星科学、M1)
place: Room936 理学部1号館
time: 2011年 2月 3日〔木)、17:00 to 19:00

セミナータイトル:
 「CMコンドライト中のCAIに対するAl-Mg系を用いた年代測定」
内容:
 CMコンドライト中に含まれるCAIの同位体組成を用いた年代測定が行われている。今回は、その測定が行われた先行研究のレビュー、および 自身の取り組みの進捗状況を報告する。




第16回宇宙地球同位体科学セミナー(2010年度)

speaker: 太田 祥宏(地球惑星科学、M1)
place: Room936 理学部1号館
time: 2011年 2月 17日〔木)、17:00 to 19:00

セミナータイトル:
 「火星隕石におけるU-Pb年代測定と水素同位体比について」
内容:
火星隕石では数多くの年代測定が行われており、ALH84001,Nakhlites/Chassignites, Shergottitesと3つの年代区分があることが言われている。しかしShergottites を始め測定された年代について一部議論がある。また隕石中の水素同位体比についても全体としての傾向は言われているものの、具体的な値については年々更新されている状況である。セミナーではこのような火星隕石のU-Pb年代と水素同位体比について概観したのち、3つの火星隕石(ALH84001, Zagami, DaG476)についてU-Pb年代測定と水素同位体比の測定を行ったのでこの結果について報告する。




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