平林孝太@東京大学研究のはなし、個人的なメモ書きなどのページになる予定です。。。 |
宇宙プラズマ物理学
宇宙に存在するバリオン(陽子とか中性子とか、いわゆる「普通」の物質)のうち実に99.9%は、
電離した気体、すなわち、プラズマ状態にあると言われています。
プラズマを構成する一つ一つ粒子(多くの場合、陽子と電子)は電荷を持っているので、
磁場や電場の影響を受けながら運動します。
電荷の運動とは、言い換えれば電流ですから、この電流が周囲の電磁場を変化させ、
変化した電磁場によって粒子の運動もまた変化します。
このように、プラズマと電磁場は互いに影響を及ぼしあいながら時間発展していきます。
したがってプラズマ現象を理解したり再現したりするためには、
プラズマの発展(運動方程式)と電磁場の発展(Maxwell方程式)を同時に考える必要があり、
これらは度々、コンピュータで数値シミュレーションを行うことによって近似的に解かれます。
私の興味は、宇宙空間や様々な天体活動でプラズマが引き起こす物理現象にあります。
一つのプラズマ現象を取ってみても、それは形を変えて色々な場所で起こります。
たとえば、磁場に蓄積されたエネルギーをプラズマ粒子のエネルギーに爆発的に変換し、
高温で高速なプラズマジェットを生成する磁気リコネクションは、
太陽表面でフレアをトリガーする機構として研究されていますし、
太陽から吹き出るプラズマ流と地球の磁気圏が衝突する場所でも起こります。
反対に地球の夜側で起こる磁気リコネクションは、オーロラの発生と関係していると言われています。
さらに、地球から遠く離れた場所でも磁気リコネクションは様々な天体現象に顔を出します。
様々な天文現象にプラズマ物理という視点からアプローチし、
そこに潜む共通性・普遍性を解き明かしいくことが大きなテーマのひとつと言えるでしょう。
今は、ブラックホール周辺の降着円盤と呼ばれる天体への応用を視野に入れた『磁気回転不安定』の研究と、 密度が低く粒子同士の衝突頻度がとても低い『無衝突プラズマ』で起こる『磁気リコネクション』の研究を、 主に数値シミュレーションを使って進めています。
せっかくなのでシミュレーションの綺麗な絵もいずれ載せようとおもいます。。。