2005年天文学会秋季年会 企画セッション

「軟ガンマ線リピーターとマグネター」

     投稿受付期間: 2005/6/8(水)〜6/17(金) 24時
     多数の投稿ありがとうございました。

次回天文学会秋季年会(10月6日〜8日 札幌コンベンションセンター)にて、企画セッション「軟ガンマ線リピーターとマグネター」を開催する事になりました。関連する通常セッションは
    高密度天体、飛翔体観測、恒星、太陽、星間現象
など。

[趣旨]

2004年の末に、軟ガンマ線リピーター SGR 1806-20に巨大フレアが発生し、太陽フレアでも観測されたことのない史上最大強度のガンマ線が Geotailをはじめとする数多くの人工衛星を襲いました。 放射源が約 10kpcの距離にあることを考えると、ガンマ線放射は瞬間的にクェーサー光度並みの10の47乗erg/sに達したと推定されます。爆発の後には、電波残光の放射が野辺山電波干渉計でも記録されました。この巨大フレアでは、磁場として中性子星内部に蓄えられていた10の46乗エルグを超えるエネルギーが1秒足らずの間に解放されたと考えられています。この驚異的な現象が観測された機会をとらえ、本企画セッションでは、軟ガンマ線リピーターの観測の報告と、その発生源とされる超強磁場中性子星「マグネター」の磁気現象や内部における相転移の可能性などついて考察を行ないます。
基調講演としては次の3件を予定しています:
(1) SGR 全般の観測レビュー(平時の小フレアならびに前2回の巨大フレア)を行い、それと対比して今回の巨大フレアの特性を明らかにし、観測・理論それぞれの課題を浮き彫りにする。河合誠之(東工大)

(2) 巨大フレアのエネルギー源は磁場と考えられるが、莫大な磁気エネルギーの蓄積および解放が如何になされたか、中性子星の内部や磁気圏の構造と関連させながら、レビューする。柴崎徳明(立大)

(3) 巨大フレアの電磁気プラズマ現象としての理論的解釈磁気fireballモデル、シンクロトロン衝撃波モデルなど、巨大フレアおよび残光の理論的解釈についてGRBの相対論的ジェットモデルと対比しながらレビューする。井岡邦仁(京大)

実行委員会より割り当てられたのは2時間半であり、この時間内に基調講演と一般講演を配置します (一般講演は全てb講演とし、口頭発表(2〜5分(*))とポスター発表を併設することになりました。)

(*)このセッション内では、一つの観測項目について2件以上の一般講演(b)があるとき、 2件目以降の口頭発表は2分としました。それ以外の一般講演(b)の口頭発表は5分です。

以上。


世話人代表:寺沢敏夫 (東大理)
email: terasawa@eps.s.u-tokyo.ac.jp (スパムメール防止用に@を全角にしてあります。)

2005年4月28日 記者発表資料

超強磁場中性子星の巨大フレア: 日本観測陣の貢献

2004年の末に、いて座の方向にある軟ガンマ線リピーターSGR 1806-20 と呼ばれる天体に巨大フレアが発生し、日米共同の磁気圏観測衛星ジオテイルをはじめ、日本が参加しているガンマ線観測衛星スウィフトなど数多くの人工衛星を襲いました。このガンマ線の強度は、人工衛星による観測が始まって以来最大のもので、放射源が3万光年を超える距離にあることを考えると、そのエネルギー放射率は瞬間的に天の川銀河のすべての星の光の合計の数百倍という驚異的な値に達したものと推定されます。この莫大なエネルギー放射のメカニズムは、まだ完全には明らかになっていませんが、普通のパルサーの1000倍に達する強力な磁場を持った中性子星の内部に蓄えられた磁気エネルギーが、1秒足らずの間に解放されたという説が有力視されています。このフレアの後には強い電波源が出現し、野辺山の電波望遠鏡でも観測されましたが、2週間ほどで減衰しました。この巨大フレアは世界的に大きな関心を集め、4月28日発行のNature誌上で特集が組まれましたが、日本の研究グループはその特集に収録された3論文において重要な貢献をいたしました。3論文の筆頭著者、タイトル、対象とするフレアの期間(手段)は次の通りです:

D. M. パーマー
Gamma ray observatins of a giant flare from magnetar SGR 1806-20
フレア開始からの数分間 (スウィフト衛星によるガンマ線観測)
概要については こちらをごらんください。

P. B. キャメロン
Discovery of a radio afterglow following the 27 December 2004 giant flare from SGR 1806-20
フレア開始から数日〜十数日間 (米国VLA、野辺山などの電波観測)
概要については こちらをごらんください。

寺沢敏夫
the giant flare of SGR 1806-20
フレア開始後の0.6秒間 (ジオテイル衛星によるガンマ線観測)
概要については こちらをごらんください。

なお、上記論文のうち、3番目のジオテイル衛星観測については、NASAでのプレスリリース(2/18)に合わせ東大理学部のニュースとして http://www.s.u-tokyo.ac.jp/info/gamma.html にて、その一部を速報として公開しておりした。Nature論文はその後の研究の進展を反映しております。